の丘陵の豊かな環境を対象としてどのようなアウトドア・レクリエーション活動が展開できるか、施設面の整備も含めて検討される必要がある。
一方、川西町の観光利用の形態をみると、野外空間を対象としたものでは、日本一の規模を誇るといわれる「ダリア園」に片寄っていて、多様性に欠けている。しかし、新しい観光活動ないし町おこしの方向として、また新しい町のイメージ形成の手段として、眺山丘陵のような地域資産・自然資産を活用した学習型・体験型活動の展開や環境保全型の空間整備も考えられてよかろう。
こうした様々な課題への対応が、この計画に求められているといえる。
4-2 計画の視点、方向性
それでは、それらの課題の解決策としての計画の視点や方向性としてはどのようなものが考えられるのだろうか。眺山丘陵の環境特性、これまで我が国で進められてきた公園や緑地づくりの経験と反省、最近大きく変わりつつある人々の志向等を踏まえながら考えてみたい。
都市地域に建設される公園とは異なって、眺山丘陵の立地や環境特性からすると、当然のこととして「環境保全型」ないしは「自然資源活用型」の計画になると思われる。こうした計画においては、「如何に空間や施設の造成・建設を行うか」ということよりもむしろ、「如何に空間を維持・管理していくか」、「その仕組みを如何に迫り上げるか」「それらの運営を支える人材を如何に組織するか」というソフト面の検討に重点がおかれる。
眺山丘陵のような里山空間(植生や景観)の維持・管理においては、従来の農業的管理(薪炭や落葉の採取)に代わる新しい仕組みが考えられなければならない。しかし、これを行政に期待するには人材面、労力面、資金面において限界がある。
そうした中で最近注目されてきたのが、「市民(住民)参加による緑の管理運営方式」である。行政の指導や支援協力を得ながらも地域の住民有志が中心となって管理運営組織(愛護会等)を造り自主的に活動するという方法であり、特に大都市近郊地域では各所でこうした活動が始まりつつある。
こうした動きが生まれる背景として、この方式には定まった方法はなくそれぞれの場面に応じて工夫しながら対処していかなければならないという試行錯誤的な側面や対象空間へのきめ細かな対応、運営面で企画力や人のネットワークが求められるという課題があり、そうした状況に対する行政対応の限界もあげられる。しかし、何よりも大きな要因としてあげられるのは、人々の大きな意識の変化である。昨今の自然志向、環境志向の高まりによって、動植物に対する知識や環境管理活動への参加意欲を備えた市民(住民)が急激に増えつつあるという実態がある。彼らは、行政担当者よりも豊富な情報や知識、人のネッ