で行く。ですから、都市が発達したにもかかわらず、やはり自動車交通量は少なくて住むという発展があり得るわけなんです。そういうことをプランナーに考えてもらうということも大事ではないかと思います。これも、ある意味では文化の一部かと思います。
野 中 では、土井さん、最後の締めをお願いいたします。
土 井 例えば日本でいいますと、環境問題というのは、もともと恐らく1960年代から70年代の、いわゆる公害問題、四日市とか水俣とか、あるいは大都市の排出ガスの問題といった非常に広い意味での公害問題の解決というのが環境への日本での政府なり国民なり、企業なりの対応の始まりだったと思います。それを思い出していただきますと、一応そのような公害問題というのは、ある意味で基本的に解決ができたわけです。そのできた一番の基盤というのは、国民的なコンセンサス、公害を出してはいけない、あるいは解決しなければいけないというのがあったからでありまして、その間、マスコミも非常に活躍をしたというか、そういったキャンペーンをする、あるいは政府等に圧力をかけるということで非常に大きな力を発揮したわけです。今度の環境問題も、やはり日本の国民の中で、地球温暖化を防がなければいけないというコンセンサスの形成が非常に必要なのではないかと。そのために私は、マスメディアの力に期待するところが大きいと同時に、国民1人1人のライフスタイルの変更というのが不可欠なのではないか思います。その意味で、教育とか情報公開というのも必要になってくるだろうと思っています。単に燃費のよい自動車を開発して普及するだけでは、やっぱり足りない面があります。例えばなるべく自転車とか歩く方も利用するとか、そういった面も含めて、国民1人1人の皆様のライフスタイルを地球温暖化の防止に向けて変えていくというのがぜひ必要なのではないかと思います。先ほど申し上げたように、行政上の責任はたくさんあるのですが、同時に、国民1人1人の方も責任がありますよということを申し上げたいと思います。
野 中 ありがとうございました。昨今、ご案内のように、各自動車メーカはハイブリッド車、あるいは電気自動車、蓄電池の部分についての開発なども目覚ましいものを発表してくださっています。あるメーカーでは、NOx、SOx、CO2を含めてガソリン車の現行の100分の1に排出ガスを抑えるようなものをもう開発していて、多少値段は高いけれどもマーケットに出せるような状況だということを、私は開発の担当者から直接お話を伺いました。これからもどんどん技術開発が進むだろうということを大いに期待して