方ですね。そういうことをやることが結局、自分のために得であるということをわかってもらう。そういうキャンペーンを我々がやるということが大事だと思うのですね。
野 中 大変わかりやすいお話だったと思いますが、それでは、最後にショートさんから、お話を進めていただきたいと思います。
ショート 社会として一貫した取り組みを行うとするのであれば、財政面、規制面、そして情報、すべての手段を同じ方向へ同時に導引することが必要です。特にその中では財務省、あるいは大蔵省といったところを関与させる、あるいは一番自分の収入が減ることを恐れているようなところに対して、収入を維持しつつライフスタイルを変えるというような考え方を知らせていくことが必要です。同じ方向に動いていくことで間違った選択をした人は、それに対して対価を払うということになれば一貫した取り組みと言えるでしょう。
野 中 ありがとうございました。それでは、シュレーダーさん、お願いします。
シュレーダー 私の意見では、我々は、まずなぜ人々は都市を離れようとしているのかということを考えるべきです。やはり工業、産業が汚染、あるいは騒音をまき散らしているからです。ですから、空間計画において職住接近ということをうまく考えれば、交通混雑という問題もそれほど大きくならないかもしれません。つまり、交通混雑のもとを断つということから、すぐれた都市計画が必要だと思います。
野 中 ありがとうございました。木村さん、さきほどすばらしいお話を伺いましたが、最後のコメントをいただけますか。
木 村 では、都市開発のあり方ということについてもう1つ、最後のまとめというよりは、アイデアをご参考までに提供したいと思います。中国の場合、特に上海のような都市ですと、既に都心部、一番町の中心になるところから放射状の道はあるわけです。そこへアメリカ式の発想でリングロード--環状線をつくろうというのが自動車交通に対応する考え方からすぐ出てくる、普通の人の頭の中に浮かぶアイデアなんですが、それをやりますと、アメリカ式のライフスタイルを強制的に中国に押しつけることになります。そうでなくて、自転車のスポークが中心部から放射状に延びているように、その線を強化しますと、職住接近で既にできている上海の町がそのまま、人が余り動かないまま、家を変わらないまま、すぐ公共交通機関で都心部へも行けるし、自分のもともと勤めていた--これはノードと言いいますが、地方の核に行ける、歩いて行く、自転車で行く、そのまま