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てもらえば、またそれはそれですばらしいと思います。やはり我々の過ちから学ぶ、特に都市についても学ぶことがたくさんある。そして、先進国が犯した過ちを途上国は繰り返してもらいたくないと思います。また、技術移転というすばらしいチャンスがあります。車においても、燃料においても、いわばベストプラクティスを先進国から途上国の方に移転する機会があります。途上国は、汚い車を使わなくても何世代も飛び越して、クリーンな車、燃費のいい車を一足飛びに使うことができるようになると思います。ですから、技術移転の重要性をいいたいと思います。

 

野 中  ありがとうございました。まさに移転をするということと同時に、今、私たちが知り得ないようなすばらしい技術がまた人類の手によって生み出される、その夢も先進国の人々も忘れてはならないというところだと思うのです。ただ今となっては、こっちでは使えないけれども、あっちではまだ珍しいから差し上げよう、ということもいいことだと考えてしまうビジネスマンが出てくるかもしれない。そういういろいろな思いを抑えて地球全体の運命を考えなければいけないのだ、というところがかなり力を持ってくれないと困ると思うのです。ノブレスオブリージという言葉がありますが、先に立っている人たちの社会的義務をすべての企業が認識していてくれればいいと思うのですが。でも、土井さん、我が国一国のネゴシエーションを見ても、我々庶民レベルで聞き及ぶところですと、通産省と環境庁、そして運輸省の壁というものが相当厚いように承っておりますが、そのあたりはいかがでございますか。

 

土 井  大変難しい質問が突然参りまして、考え方を整理する必要があると思いますが、一番末尾の日本の政府の中で意見が違うじゃないかという点については、運輸省の場合は目標設定だけでなくて、それを実現する方に主として行政上の責任があります。自動車単体の燃費の向上もそうですし、鉄道とかバスとか海運、そういう公共輸送機関の利用を促進するといったことについて、我々運輸行政としても、税金であるとか、予算であるとか、財投であるとか、法律であるとか、いろんな努力をこれから重ねていかなければいけないと思います。また、その覚悟はしているわけですが、その意味で実現責任官庁であるだけに、やはり実現可能な目標にしたいということはあります。ただ、私は、政府の中でも役割分担があるわけですから、環境庁なら環境庁がより一層厳しい目標を設定してやろうじゃないかというのも、今度は目標設定の官庁であり、環境そのものが行政目的になっている官庁であれば、それも当然

 

 

 

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