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野 中  それに対して、世界銀行はかなり積極的にバックアップしたということですか。

 

木 村  積極的にやりました。ですから、環境という点からすれば、レールチャイナがそのまま理想どおり発展して、細かい第三セクター的なところまでいけたと仮定した場合は、環境との比較でいえば、道路網をつくった方が環境にはよくなかったかもしれません。そういう意味では問題があったというようにいえるかもしれませんが、この議論はかなりアカデミックというか、机上の議論になってしまいますね。

 

野 中  そうですね。シュレーダーさん、今のお話を聞いてどういうご感想ですか。

シュレーダー 言われたとおりだと思います。やっぱりフェアーなグローバルな負担をすることが必要だと思います。先進国の方が途上国よりももっとCO2を削減しなければいけないと思うのです。しかし、途上国も、やはり先進国の過ちを繰り返す必要はないわけですね。途上国の方は、最も高度な輸送機関を導入することができます。しかし、援助が必要なのだと思います。途上国と先進国が一緒になって負担を共有するということが必要だと思います。例えば京都会議こそがそのモデルになるのではないかと思います。デンマーク、オランダ、オーストリア、ドイツのような先進的な国は、25%削減を言っているわけです。それによって途上国の方がそれほど減らさなくてもいいというような形、それこそがフェアーなグローバルの責任の分担ということになるのではないでしょうか。

 

ショート 世界銀行は大きな役割を途上国で果たしていると思います。個人的な意見でございまして、木村さんと同じ意見ではないかもしれませんが、道路の建設に世界銀行が余りにも力点を起き過ぎたのではないかと思います。例えば地下鉄とかに対しても、これから援助をするべきだと思いますが、持続可能な政策アドバイスを世界銀行はこれからするべきだと私は考えています。2つ目として、中国、アフリカ、インドなどの諸国が豊かになりますと、車を買いたくなる。そうすると、みんな幸せになるわけですね。しかし、その裏面を見てみますと、もしこれらの人たちが買わないという選択が可能であればすばらしいのではないでしょうか。自分の国では、何も車を持たなくても十分いいんだという価値感を持っ

 

 

 

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