変更がなされたわけです。各国はディーゼル車とガソリン車の税率を同じにしておりますが、フランスではまだディーゼルの方が税金が低いのです。運送事業者が強力に政府に働きかけていて、その増税を阻止しているわけです。一般の乗用車に課税をする方が政策的に楽だということで、ヨーロッパでも、ディーゼル車の課税をどうするか、これも1つの大きな問題です。
野 中 土井さん、日本ではどうなっているのですか。
土 井 日本では、ディーゼル車がどう、ガソリン車がどうということよりも、先ほども少し申し上げましたが、税制上は先ほどの一定の目標を設定しまして、その目標に合致したものについてはディーゼル車にせよ、ガソリン車にせよ、自動車を買う場合に税金を少し安くするという税制はございます。
野 中 ありがとうございました。木村さん、お待たせいたしました。そろそろ途上国の問題にも触れていきたいと思いますが、今、途上国の方たちはどういう方向を向いているのですか。とにかくモータリゼーションの実現までは行きたいのだから、その部分のお金の援助も欲しいし、CO2を出すなというようなことは言わないで欲しいというような立場なのでしょうか。
木 村 いえ、必ずしもそうばかりではなくて、サステイナブルデベロップメントという概念から環境を考えた開発ということを国の指導者たちがみんな考えていることは事実だと思うのですね。ただ、問題の本質が時間的にも内容的にも、先進国の場合と非常に違っております。例えば物理的な問題の実情だけ1つとりましても、先進国が既に解決してしまったような問題が山積みになっております。それに、これから量が爆発的にふえる、むしろ経済発展に伴って必然的に起こってくる交通量というものがあるわけですし、都市化という問題もあり、それに伴ってモータリゼーションは進むという感じであり、問題が悪化することはもう避けられません。ただ、それにどう対処するか、必ずしもすべて先進国がたどった経過をたどっていった上で問題が深刻化し過ぎて、公害が耐えられなくなったから手を打つということでなくて、低燃費車を最初から紹介したり、文化を変えたり、その他いろんな手を打っていけば、起こり得る問題がかなり少なくて済むと考えられます。指導者は、それは当然認識をして経済をマネジメントしていこうとしているわけですね。ただ、ギャップが大き過ぎるのです。例えば京都会議なり、先進国の会議なりで、そのままアメリカのようにぶつけてくれるなという立場はやはりあると思います。