野 中 技術開発ということを第1番目にご説明していただいたのですが、これについては先ほどの長谷川先生のお話にもありましたが、日本の製造業というのは本当に世界に誇るべきテクニックと知恵、それから人材も集まっている。これが次にリードするのだから、日本の今の経済とか、いろんなことに決して自信を喪失することはないぞというお話だったのですが、この燃費の向上をメーカーに任せっきりになっているということですか、それともそういう開発をした企業なり何なりには、例えば法人税的に優遇措置があるとか、そういう企業と政府とのコミュニケーションはどのようになっているのですか。
土 井 2つございまして、日本の自動車メーカというのは技術的に大変すぐれていますし、それから新しいものを探究する進取の気質もお持ちでして、そういうメーカの意欲と能力を背景として、燃費の目標を定めて、それを達成していただくということを第1に政府としてやっているところであります。具体的には、エネルギーの使用の合理化に関する法律というのがあります。省エネ法と呼ばれていますが、この省エネ法に基づいて、各自動車メーカが達成すべき燃費目標を法令上、定めているということであります。この法律の中では、目標年度を定めて、目標年度の各自動車メーカの出荷台数を加味した新車の平均燃費が目標値を上回ることを求めております。そして、その目標値を大きく下回る場合は、自動車メーカに改善を勧告するという非常に厳しいものであります。これは別に罰則があるわけではないのですが、自動車メーカというのは国内のメーカ同士でも大変厳しい競争をしておりますから、勧告が出されるというのは大変ダメージが