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具体的な措置として最近、ドイツで導入された事例をご紹介したいと思います。最初はグリーン税制です。排出ガスに関する税制でありまして、94年4月1日から大型トラックに対して、97年7月1日から自家用車に対して導入されております。この排出ガスに関する税制というのは、触媒の装備されていない自動車の所有者は高い税率を払わなければならないというものです。より進んだ排出ガス基準に適合した車、燃費のよい車を持っている人たちは低い税率、また触媒の装備されている自動車でヨーロッパの基準に適合する人は前と同じ税率を課するものであり、非常に大きな効果を得ています。7月より既に20万台の自動車には触媒を後づけしております。また、新車の販売も非常に環境にやさしい自動車の販売が増えているということです。第2の措置としては、先ほど申し上げたように、政府と自動車工業会との間での任意の合意であります。新車の平均燃料消費率が1978年に比べて40%低くなることを目指しております。3つ目が鉄道の民営化及びインフラの整備であります。効率性と競争力を向上させるために、日本の例に学びまして、国有鉄道の民営化を実施しております。92年の連邦政府交通インフラ計画において、鉄道部門への投資は自動車交通よりも初めて高い優先を与えられております。ドイツの統一優先プロジェクトは17あるわけですが、9件の鉄道プロジェクトが含まれています。ヨーロッパ高速ネットワークについても、鉄道を魅力的で環境にやさしい、自動車交通や短距離飛行機からの代替手段にするためのものとして認められています。次が4つ目として物流拠点の改善であります。特に鉄道及び自動車による複合輸送における改善でありまして、この部門では輸送量が1980年から90年までの間に129%伸びております。約12億ドイツマルクの資金が、この複合輸送ターミナルの改良や新設のために費やされております。5つ目の措置ですが、これは情報システムネットワーク、相互連絡の推進であります。特に複数の輸送モードにおいてということで、これはテレマチックと呼んでおります。6つ目は、使用者負担の原則ということであります。輸送問題における競争条件の調和のために、使用者負担の原則に基づく運輸部門におけるインフラにかかわるコストの配分であります。7つ目は交通影響評価であります。多くの政治的及び立法上の決定が交通量の増加にどのように影響しているのかを明らかにするために、このような影響評価を適用しております。8つ目の措置は、やはり経済成長と交通量の増加を分けて考えるということであります。

 

 

 

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