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従って、これまでの二酸化炭素の大幅な増加傾向を転換させるためには、自動車からの二酸化炭素排出量をいかに抑制するか、他の国でもそうだと思いますが、これが我が国でも対策の中心になるかと思います。なお、1点つけ加えさせていただきますと、我が国の輸送機関、特に旅客輸送においては、従来から他の国、例えば特にアメリカなどと比べますと、鉄道やバスといった公共輸送機関の占める割合が比較的高い状況にあります。その結果として、運輸部門における1人当たりの二酸化炭素排出量は、米国の約3分の1、また欧州諸国の約8割という水準になっております。簡単ですが、以上が日本の運輸部門における二酸化炭素の排出状況のアウトラインでございます。

野 中  ありがとうございました。運輸部門の90%を自動車が占めているということで、各国いろいろな事情がある中でも、やはり自動車についてどうにかしなければいけないわけです。先ほどの長谷川先生の基調講演にもありましたけれども、そうなってくると、では、技術屋さんの問題かというように、どうしてもそっちへいきがちでございますが、やはり運転の仕方というのも重要なテーマとなってくると思います。土井さん、自動車が日本では毎年200万台純増ですか。

 

土 井  そうです。

 

野 中  これはすごいなというのが実感ですが、と同時に、自動車を持つことが便利のバロメーターであったり、そうすることが1つの新しい生活に入るプラスの目盛りである、という認識で私たちは突き進んできたその結果が現状ということです。一方、そこに突き進みたいと思っている国がこの地球上ではまだたくさんあるわけです。途上国の問題ということになりますが、木村さんは世界銀行で今は中国・モンゴル局プロジェクトアドバイザーというお仕事をしていらっしゃいます。大型プロジェクトと同時に、環境問題についても非常に心を悩ませている毎日を送っていられるようです。木村さん、途上国は、現時点ですと二酸化炭素排出量は先進国に比べると1人あたりで5分の1というデータも出ておりますが、これは今後ものすごいスピードで大量に排出する方向に動いているわけですね。

 

木 村  そうですね。地球の将来に対するインパクトという観点からしますと、先進国の対応もさることながら、途上国がこれからどう動くかということが決定的な決め手になることはもう間違いがありません。それをどう扱うか

 

 

 

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