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そこで出てまいります問題は、目標をどこに設定し、どうすれば排出抑制が実現できるかということです。目標を実現するということは大変重要であり、特に交通輸送手段においてそれが重要であるといえます。アメリカや日本など30カ国が集まった欧州運輸大臣会議で検討をした内容をご紹介したいと思います。300以上もの手段が指摘されました。そして、こうしたさまざまな手段、措置をいろいろに分類いたしました。半分以上は何らかの経済的な措置を導入するというものです。そして、4分の1が規制手段を用いるというものです。そして、残りは研究開発とか、あるいは自主規制とか、特に欧州の自動車業界で行っております自主的な合意、情報の普及、あるいは教育訓練であります。この334の手段のうち、5%の事例のみがCO2の排出に関係があると思われるものであります。政府はさまざまな一般的な手段、例えば複合一貫輸送といったことを奨励しているわけです。そうすれば、CO2の削減に寄与すると言っております。しかしながら、現在のところ、どの程度までこれらが貢献できるかわかっていないわけです。現在のところ定量的な研究として、この措置の結果、これだけCO2が削減されるということを結びつけるような研究は行われていません。最後に結論を申し上げたいと思います。こうした幾つかの国々に関して検討した結果、具体的にCO2の削減に関して、特に交通輸送手段に焦点を当てている国は大変少ないということ、特にこういった交通輸送手段向けの計画を立てている国は少ないということです。ヨーロッパにおいて今までのところ有益だと思われますのは、自主規制が行われ、業界も関与して、業界もその合意に参加しているということです。CO2に関しての車両基準というものが設定されるということは、どうもありそうにありません。ですから、むしろ業界も巻き込んだ形での自主規制、あるいは自主合意という形で行われようとしております。

 

野 中  ショートさん、ありがとうございました。(拍手) ショートさんは、ECMT(欧州運輸大臣会議 -European Conference of Ministers of Transport)の事務局次長をなさっております。つまり、各国の経済状況、そして環境の問題、例えばオランダなどですと、もう国土の4分の1は海面の下にあるという、かなり強烈な危機意識を国民レベルで持っている国もあれば、経済成長の方が大事だという国もあります。ご紹介にもありましたようにフランスは、原子力発電という根本的なエネルギー問題に対して国策が違うため、話し合うステージがばらばらな中で事務局次長としてはいろんなところで共通項

 

 

 

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