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または、昇降路下部もしくはピットに隣接した小スペースとする。

f.出入口寸法は、車いす使用者の利用を考え、0.9m以上とする。

g.かご室内法は、車いす使用者がかご室内で回転できる最小寸法として、1.35m×l.35m以上必要である。かご室天井高さは、オーバーヘッド寸法の制約が厳しい中でもゆとりある空間にすべく、2.1m以上とする。

h.定格速度は一般の旅客にとっても利用し易くするため45m/minとする。

i. 積載荷重は不特定の人が多数乗車する事を考え、600kgとし、定員を9人とする。

j.停止数は最小の2か所、多層化した駅舎にも対応できるように最大3箇所停止とし、最大昇降行程は13mとする。

k.駆動方式としては昇降路外法を2.0m×2.0以下にするため、つり合いおもり付き巻胴方式とした。この方式ではつり合いおもりを設けるため昇降路平面スペースが苦しくなるが、かご室の形状の工夫と昇降路壁厚の工夫で解決した。

l.利用者の安全性を確保するため、光電式ドアセンサ、乗り過ぎ防止装置、音声合成アナウンス装置、閉じ込め監視装置、停電時自動着床装置、係員監視盤などを設ける。また、戸開放時間は通常のエレベーターより長く約10秒とする。

m.操作信号器具等の仕様は利用者の便利性を考え、かご操作盤行先ボタンの中心の高さを考慮すると共に、かご室内の手摺り、かご・乗場戸の防犯窓、かご室内鏡、乗場ボタンおよび乗場インターホン等を設置する。

n.昇降路は設置工事の簡素化及び工期の短縮ならびに総工事費、工事中の旅客流動への影響の低減を図るため、エレベーター本体と昇降路を一体としたエレベーター設備の据え付け工法について調査研究を実施し、エレベーターシャフトを分割し運搬可能なサイズ、重量とした鉄骨による単位ユニットをあらかじめ仕上げ材と一体に精度よく工場製作し、鉄骨パネルとして現場に搬入して積み上げ、ボルトを使用して内部から作業を行い一体化してエレベーターシャフトを構成する方法である。

これらの基本検討をベースにモデルとして、近鉄京都線新田辺駅に直角二方向エレベーターを設置し、使用上の評価及び施工上の評価を実施した。エレベーターは平成9年12月に稼働し、一般利用者、車いす利用者及び委員会メンバーにて試乗し、評価を実施した。

使用上の評価としては、全体的によく出来ているという結果である。施工上の評価の結果、40%のスペース減、50%の工事用スペース減、30%〜50%の工程短縮、30%のコスト削減とかなりの成果をおさめた。

今回開発した駅用直角二方向エレベーターは駅用エレベーターを定義するものではなく選択肢が増えたものといえる。今後、低コスト、省スペースな駅用エレベーターの研究・開発がますます行われ、エレベーターの普及が進むことを期待したい。

 

 

 

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