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第8章 まとめ

 

3年間の研究・開発は駅用エレベーターの基本仕様の検討、駅用エレベーターのかご室モデルの作成及びモデル駅における駅用エレベーターの開発、評価等を行った。

移動制約者にとって、エレベーターは極めて利便性の高い垂直移動設備である。現状を見るとエレベーターを駅に設置する場合、設置場所や設置がコストネックとなって、いまだごく限られた駅にしか設置されていない。したがって、移動制約者にとっても利便性が高く、かつ省スペース・低コストで既設駅に設置しやすいエレベーターのニーズが高まっている。

従来型エレベーターの適用にはスペースでの問題点はつぎのとおりである。

a.連続的大量の旅客が移動するため、コンコースやプラットホームにエレベーター設置する場所に制約がある。

b.プラットホームの下及び上には構造上の制約がある。

c.プラットホームのスペースが小さく、列車の発着時に危険があるため、エレベーターの出入口に制限がある。

また、従来型エレベーター適用上のコストでの問題点としては、スペースの問題等から駅設備の改良を必要とする場合が多く設置コストは高くなる。設置工事ではケースによる違いはあるが、一般に旅客に支障しない深夜時間帯に行われるため労務費が高くなったり、工事資材の搬入、搬出の効率の悪さ、プラットホーム上屋や架線等の制約による重機使用制限等があり、これらのことが改良工事費を含んだトータル工事費を引き上げる原因になっている。

これらの問題を解決するため、専有面積が縮小化され、底部掘削が縮小化され、頂部隙間が縮小化され、配置の自由度の向上されたスペースの小さなエレベーターの開発することが必要となった。本委員会では直角二方向出入口タイプを開発目標とした。

今回開発した駅用直角二方向エレベーターは、まずかご室モデルを試作し、その評価を行い、仕様をかためた。

直角二方向出入口方式を実現するため、角形固定方式と丸形回転(90度回転)方式の2方式について検討を行った。丸形にすれば自動的に90度回転するので乗降者にとっては理想的であるが、昇降路外法寸法が大きくなると、またコストが増加することなどにより、角形固定方式のかご室とした。

その基本仕様の主な考え方は次の通りである。

a.移動制約者の利用と健常者の利用を兼ねたものとする。

b.昇降路外法は駅のプラットホーム及びコンコースに余裕スペースが少ないため、最小の2.0m×2.0mとする。

c.ピット寸法は、線路面とホーム面間及び基礎厚さを考慮して、0.8m以下とする。

d.オーバーヘッド寸法は既存の駅舎構造体を改造しないことを目指し、かつ、搬入スペース等を考慮して3.25m以下とする。

e.機械室位置は昇降路、ピット寸法及びオーバーヘッド寸法の制限範囲内に納めるか、

 

 

 

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