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ところが、最近の和歌山県は大手の旅行会社さんがいろいろな団体旅行のグループを取り込んでいますから、周辺へ行かれるのはいわば時間調整。しかも、精進潔斎で行くかといいますと、行きの道からたくさんのお酒がはいって、お寺に行きましても、みやげ物屋さんで一服して終わりの方もございます。いまの旅は、そういう旅です。そういう面からしますと、みなさんがたが心から人を迎えておられる観光は、最近は減っているのではないか。これでは、単なる旅行地であって観光地ではない。こんなことを思うのです。

エコ・ツーリズムというものも、本来はそういう人たちを通じて自然の良さ地域の優れた点などをいろいろ教えてもらうということではないでしょうか。最近では、各地に観光のボランティア・ガイドの仕組み、制度が発展していて、そういう人たちが結び役になっている面もありますが、本来はみなさんそれぞれがそういう立場にあると思います。そうあることで初めて、われわれは自然と接し、その見返りになにかおみやげを残さなくてはいかんなという態度が生まれます。そういうことが、エコ・ツーリズムに応じるエコの基金になるようなもの。自然とか文化財を守っていただく見返りをちょっと置いて帰ろうかという施しが、そういう気持ちのなかから出てくるのではないか。私は、これが必要なのではないかと思うのです。

先ほどは、ネイチャー・フレンドシップ・クラブについてご紹介いただきましたが、この会費は無料となっています。しかし、無料ほどなにも生まないものないのではないか。1,000円でもいただいて、「私はここの会員になっているんだ」という誇りの気持ちにさせて、その基金をエコ・ツーリズムのなにかに還元できればと思うのです。「なにか知らないが、ただだから会員になった。なんか得するものがあるんじゃないか」という気持ちが、そもそもエコ・ツーリズムの精神から離れてゆくのではないかと思います。

 

 

 

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