和歌山は、日本のツーリズムの発祥地であることを思い起こそう
和歌山県は日本のツーリズムの発祥地だと思います。世界でも有数の古い歴史をもっています。和歌山には熊野詣があり、西国三十三カ所の出発点もあります。こういう巡礼などをみて、日本各地が「巡りの旅」を始めた。巡礼は礼を尽くして巡り歩きますから、地元の方がたとのいろいろな接触も行なわれました。この意味で、日本のツーリズムの発祥地なのです。白浜の湯も、日本の三大古湯として、各時代の天皇もきていますね。
和歌山県は、日本の巡りの旅の歴史があるところです。ネットワーク観光、広域観光の歴史があるのです。西国巡礼は、関西圏をぐるっとまわる大きなネットワークです。ですから、昔から道を中心に観光のネットワークが形成されていたのです。
熊野詣での九十九王子は、大阪から熊野三山にお詣りされる参拝道です。宗教学者や信仰の方は別のご意見かもしれませんが、途中の王子というのは休憩場所です。道案内の道路標識のかわりです。長い参道をもくもくと目的地を目指すのですから、紀三井寺や粉河寺にあるような門前の商店街の延長線が大阪まであると思えばいいのです。そして、やっとお寺にたどりついて、地元の方がたにいろいろな接待を受けた。
私と同じ名前の藤原宗忠という人が書いた日記がありますが、あれを読みますと、帰りにはいまの和歌山市の周辺で遊んでいます。遊覧という言葉が初めて出てきたのではないかと思います。帰りには、門前でおみやげを買うなりした。地元の方も、これに応えて迎えて、御師とか先達とかいわれる人たち――いまでいうと添乗員さんやツアー・ガイドにあたるかもしれません。宿坊は、お客さんを手厚く迎えてもてなす日本の旅館業の始めかもしれません。こういう歴史がすべて和歌山県にあるのです。
ただの旅行地になり下がってよいのか