みなさんのお宅にお客さまがみえましたら、座敷を掃除して、料理をつくったりして歓待します。これに文句を言って帰る人は少ないでしょう。観光地も同じです。「いらっしゃい、いらっしゃい」とビラをたくさんつくって、来た人をほったらかしてはいけない。やはり、来た人をもてなすサービスが必要です。では、このサービスをどうするか。
先ほど、「和歌山県には、旅行地はあるが、観光地が最近減ってきた」と申しあげました。みなさん、これだけは覚えておいていただきたいのですが、観光というと、多くの方がサイトシーイングを観光だと思ってしまう。しかし、これは狭い意味での観光です。観光協会さんをサイトシーイング・アソシエーションとはいいません。ツーリズム・アソシエーションです。私がいいます観光は、この両方を一緒にしたものです。広い意味でのツーリズムです。旅行者だけではなくて、先ほどお話があったように、イベントに来られる方、祭りに参加される方、あるいはコンベンションや地域の産業フェアにお越しになる方、こういう方すべてが来訪者なのです。こういう方は、観光客でもあるのです。
和歌山県の統計では、1996年度の観光客は3千万人だそうです。あるいは、和歌山県の観光の率をツーリスト・ケースで計算しますと、7.7という数値がでます。3以上あれば観光にわりあい熱心な場所だといえます。これは人口割で計算しますので大きな数値になる市町村もありますが、関西で7.7は1番目か2番目に多い県だと思います。
これだけたくさんの方がお見えになっていて、なぜ観光地ではないのか。これまでのみなさんのお話のなかにも、どうも和歌山県の観光はもう一つ……という声があったようです。これは、多くの方が来ておられるが、その目的がどこかに偏っている。ある場所に行って、みなさんが知らないうちにどこかに移動して帰っておられる。あるいは、温泉地にたくさんあるのですが、少し大袈裟にいえば大規模な旅館に一度靴を脱げば、朝帰る時間まで靴を返してもらえない。そこで、すべてのことがゆき届く。これでは、人といろいろな資源とを結びつける役割を地元がしていないのではないか。旅行する目的はたくさんあると思いますが、その人たちが地域の人とふれあう場所が少ない。