自然観察を目的にした旅行もあります。先ほど前田先生からもお話がございましたが、屋久島のトレッキングですとか、高知でのホエール・ウォッチングなどがあります。自然を満喫しようというツアーもございます。釧路湿原の散策ですとか、四万十川の川下りなどが、そうしたものに当てはまるのではないかと思います。
とはいえ、こうした旅行への参加者は実際には少なく、旅行代理店の採算ベースにのるような状況ではないことも事実です。しかし、いちばん反省すべきは私たち旅行代理店自身で、これをもっと積極的に採り上げ、PRする姿勢も必要だと思っています。
先ほど、エコ・ツーリズムは、ものの考え方や価値観を反映した旅行スタイルだというように申しあげました。価値観がなにを楽しいと思うかを決めるわけですが、この価値観の形成には、小さいころからの体験が重要ではないかと思います。ドイツの人は、森を歩くのは楽しいと言います。日本人は、その森を遠くから眺めて、「この景色は美しい。写真にいっしょに収まろう」ということで満足を感じる人が多いことも事実です。私たち日本人の価値観の問題からエコ・ツーリズムを考えないと、エコ・ツーリズムの裾野の広がりはないのではないかと思っております。
「自家用車観光旅行」には公共交通機関+レンタカー利用を
「観光と交通」については、私たち旅行代理店が取り扱う旅行は、おおまかに三つに分けることができます。一つは観光対象を見て回る狭義の観光旅行、二つ目はスキー・ゴルフなど、レクリエーションを楽しむ旅行、三つ目はスポーツ大会や博覧会などのイベント、コンベンションへの参加です。
旅行の利用交通機関として自家用車が増えており、これが観光地に大きな影響を与えていることが指摘されています。昭和30年代までは、鉄道が7割を占めました。それが昭和40年代に逆転し、昭和50年代には自家用車利用が鉄道利用を5ポイント抑えて35%になっています。平成4年の時点での自家用車利用は44%、日帰り旅行にいたっては70%強になっているのが現状です。モータリゼーションの流れを浮き彫りにしているといえます。