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効率的な旅行から人間的な旅行への転換が迫られている

 

高橋 私は旅行代理店に勤めておりますので、商品企画の側がエコ・ツーリズムをどのようにとらえているか、そして観光と交通との関わりについて意見を述べたいと思います。

エコ・ツーリズムの振興が叫ばれていますが、私たち旅行代理店の人間には戸惑いが多いというのが実情です。旅行代理店はマス・ツーリズムのなかで育ってまいりましたから、どちらかというとエコ・ツーリズムと対立したところで、ビジネスとして展開してまいりました。エコ・ツーリズムは量販にむかない、大量送客にむかないからです。

しかし、エコ・ツアー的なものを企画してご参加いただきますと、顧客の満足度が高いことは事実です。そうであれば、エコ・ツーリズムを環境の面だけでみるのではなくて、これからの旅行のあり方を提案する可能性のあるニュー・ツーリズムだと捉えてみたらどうかと考えております。

これまでの旅行商品は、先ほど申しあげましたように工業生産的な発想で、効率化を求めてまいりました。しかしながら最近は、環境問題との関わりもございまして、旅行の仕方にしても人間的であることが見直されているように思います。旅行の本来の楽しみ方とはどんなものかを考えさせる一つのヒントだと捉えるべきではないかと思っております。

旅行代理店も旅の価値を転換させる役割を担うのだが……

エコ・ツーリズムの考え方は、旅行する人自身が、自分なりの「発見」や「気づき」を大切にする旅行だと考えれば、私たちもいろいろな提案ができると考えております。すでに、自然環境保護活動として植林に参加したり、文化遺産保護などを目的とするボランティア旅行などがございます。中国の黄河流域に300年をかけて植林しようという計画が始まっており、その応援にゆこうというグループがあります。また、中国の南京城は34キロメートルにわたって城壁がある世界で一番大きな城壁ですが、現在は21キロメートル程度しか残っておりません。この修復に参加しようというツアーもございます。タイのマングローブの植林をタイの住民と一緒にやろうというツアーもあります。

 

 

 

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