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「持続的発展」への取り組みとしての社会的実験のすすめ

先ほど、玉野さんから、低公害車普及のための技術的側面についてお話しいただきましたが、低公害車を普及させるには、購入者の自主的な判断にまかせるだけでは不充分です。電気自動車にしても、メタノール車、天然ガス自動車にしても、充電したり、ガス充填する施設が必要です。しかもコストが高い。やはり、意図的に社会全体として、あるいは有志のみなさんがたを支えるような社会実験をやろうということです。

私が住んでいる神戸市内でも、観光目的のレンタカーをエコ・カーで運用する計画が進んでいます。通産省の補助事業として120数台が設置される予定です。しかし、補助があるだけでは進みません。ビジネスの世界のイノベーターが乗り出さないと実現しない。神戸では、8社ほどが株をもちあうかたちで1月30日に会社が設立されました。快適かつ地球に配慮した乗り物で観光を楽しむことができる。これは社会実験の一つでしょう。

ヨーロッパでは、持続可能な交通をめざして、さまざまな社会実験が行なわれています。たとえば、カー・プール。複数の人で車を所有しあう方法です。1週間のうちに3日だけ使うという人、2日だけ使う人、週末だけ使うという3人で費用を分担しあえばコストは下げられます。ほかのときは自転車なり公共交通手段を使えばよい。こういうことを、行政が支援して共同組合方式でやる。こういう社会実験がなされています。

いずれにしても、自らが暮らしをどうするかという主体性が基本になります。公共交通手段や環境にやさしい交通手段を利用するよう強制はできない。もちろん、グリーン税制ということで、排気量の少ない、あるいは環境負荷の少ない車は維持費がもっと安くなるような方向に変えてゆくべきだと思います。それでも最後は、個々人の暮らし方、環境への思いというものが重要になってくるのではないかと思います。

先ほどのエコ・ツーリズムのお話は、私も勉強になりました。近代的なマス・ツーリズムとそれ以前のお金持ちの旅行とを対比して、いったい熊野詣とはなんであったのかを、ご専門の方にぜひご議論いただきたい。これは、「癒しの旅」であり、「巡り」であり、巡りをもてなす地域にいる人たちが、地域の資産を大事にしてこられたのではないかと。第三の旅を、もう少しエコ・ツーリズムに入れてゆくべきだと思います。

水田 環境を考えるとき、生活あるいは交通などを多様な方面で検討し、よいものを促進する方法として、いろいろな実験を試みる必要があるとの主旨でした。

北川さんには、エコ・ツーリズムという観点から、観光ニーズや行動の変化、環境への配慮のあり方などについて、簡単にお話しいただけたら幸いです。

 

 

 

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