環境保全に向けての合言葉は「持続可能な発展」
盛岡 三つの講演の後でございますので、環境を専門とする立場からお3人のお話を受けながら、少し違った視点で申しあげたいと思います。
12月に地球温暖化防止のための条約締約国会議が開催されて、先進国全体として5%強の削減を2010年ごろを目途に進めることが、議定書のなかにいちおう盛り込まれたわけでございます。産業界をはじめとする関係者は、この5%強の達成はたいへん難しいとおっしゃっておられます。先ほどの森津さんのお話にもありましたように、民生部門あるいは運輸の部門は、1990年レベルと比較いたしますとすでに12、13%――全体としては8%くらい増加しているのですが、これを含めて数%減らすのはたいへんなことです。私たちの身の回りからできる工夫を積み上げるだけでなく、痛みを伴う社会的な大きな変革が必要です。
私自身は環境家計簿の提案者で、身近なところから行動を積み上げてゆこうと申しあげているのですが、同時に社会自体を大きく変えないと、積み上げる一つひとつの試みも砂を積み上げては落ちてしまうようなことにならないかと申しあげております。そのときの合言葉が、「持続可能な発展」や「持続可能な交通」です。
ところが、持続可能というのは難しい概念で、私たちの世代の欲求を実現するために、未来の世代の欲求の実現を妨げてはならないという前提条件付きの話です。しかも、ベーシック・ニーズ、あるいは生活の質を高めることに伴って環境負荷が増大することは避けたいのです。交通の世界では、モビリティそのものは変えずに、それに要するエネルギー消費や環境負荷を下げようという展開をしています。このことを一般的には、環境効率あるいはエコ効率といいます。