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こういうような杉の衰退が問題になり始めましたのは、1980年です。これ関東地方で杉の衰退が問題になりまして、その原因がなんだということで環境庁が調べまして、その時に挙げられたのが酸性雨、それから自動車排ガス汚染、それに起因します光化学オキシダントではないかというような、あと病虫害の被害といろんな原因がいわれておりますけれども、ともかく杉が衰退して関東地方では杉が殆ど見られなくなっちゃったということがいわれておりますので、宮城県ではいったいどうなんだろうということで、私達調査を致しました。

これは八幡町にあります八幡神社ですが、皆さんこういう杉の木を御覧になったことはありませんか。こういうふうにやはりポショポショと、本来の杉のような円錐形ではない。私も実は杉枯れの調査をするまでは気が付かなかったんですね。そういわれてみて、杉を見ると、こういう杉が至る所にあるという現実を見て一緒に行った秘書が、「ああ、杉が私達人間に警告しているんではないか」「先生、あの杉の木達が、ものをいえない杉の木達が環境の変化で人間なんとかしなきゃって警告を発しているように思います」ということをいってましたけれども、そんな気が致します。

宮城県でもこうやっていろんな所を調べてみましたけれども、もう宮城県県内でこういう衰退した杉がいろんな所で見られます。しかも衰退した杉の木道路、国道4号線とか45号線とかそういう道路の際に非常に多く見られるという特徴がございます。ということで、酸性雨の影響、日本でも徐々に出てきているのではないかなと、大気ガスの影響出てきているのではないかなと思います。

次は、最後の地球規模の環境問題のオゾン層の破壊の問題です。

これは先程もいいましたように、オゾン層がフロンガスで破壊される問題ですね。皆さんにここでちょっとお話しておきたいのは、さっきの浅野知事の挨拶にもありましたけれど、この地球規模の環境問題は原因の発生から影響が出るまで非常に時間がかかる問題なんですが、これが典型的なんですね。例えば、ここで今フロンガスを出したとしますが、オゾン層にここで発生したフロンガスが到着するまでに、何年かかるとお思いでらっしゃいますか。10年から15年かかるといわれております。ですから今このオゾン層の破壊をしているこのフロンガスは10年から15年前に私達が使ったフロンガスなんですね。フロンガスは最初に使われた時は、アイディアルガスといって非常に理想のガスという、非常に健康影響はないし洗浄力はあるし非常に優れたガスといわれていたんですが、それがこんなオゾン層破壊するということがわかった。それは10年前の、私達が使ったフロンガスだったんです。それで皆さんにここで是非気をつけて頂きたいことは、今、特定フロンの製造は禁止になりましたけれど、まだフロンガスを使ったような冷蔵庫・車なんかを処理する時にきちんとそれを回収してそしてそれを分解しているだろうかというと、車を解体する時にシューッとフロンガスを空気中にまくような処理が殆どなんですね。まだフロンガスをきちんと回収して分解してるというシステムが整っておりませんのでこうして昔使ったフロンガスがまた空中の宇宙の旅に出てってしまわないように、せめて今使っている

 

 

 

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