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削減する、そうすると経済の成長が止まってしまうという通産省。環境保護を訴える環境庁、日本の国内の中でもいろんなやり取りがあります。

まして国際間になりますと、国の利害それから南北対立が出てきまして、この第3回締約国会議で西暦2000年以降の温室効果ガスの削減目標を1990年レベルからどのように下げよう、いつ迄に何%削減するという目標を日本は議長国として、この京都の会議で決めるのですけれど、非常に難しいだろうなということがいわれております。

温暖化問題、ちょっと長く話させて頂きましたので、これから次の他の環境問題に入らせて頂きたいと思います。

酸性雨の問題、これは、これも漫画で書かせて頂きましたが、酸性雨っていうのは工場や発電所なんかが出します窒素酸化物や硫黄酸化物、それから自動車から出てきます窒素酸化物がそのまま大気の中で漂っているうちにですね、光の反応を受けまして硝酸や硫酸ていう非常に強い酸になって地上に降ってくる問題です。

酸性雨の影響では、皆さんよくお聞きになっているのは、こういうふうに文化財が非常に劣化してしまっている。ヨーロッパですとギリシャとかローマとかああいう貴重な文化 財がぼろぼろになってきている。これはウイーンにある石像ですけれど、ちょっと見にくいかもしれないけどもう顔から溶けて見えなくなっている。こんな醜い像がヨーロッパのところではたくさん見られます。

私達宮城県ではどうだろうかということで、宮城県でも、宮城県のいろんな所で100体位のブロンズ像の調査をいたしました。そうすると、これは石巻の像なんですけれども、宮城県でも、このように醜いラインの出た像がたくさん見られるようになっております。

それからこの酸性雨で問題になるのは樹木枯れなんですけれども、私、一昨年、欧米の方のヨーロッパにですね樹木枯れの調査にいって来ました。チェコとポーランドと旧東ドイツの所にある黒い三角地帯に行ってきましたけれども、一面禿山になっております。それが枯れ始めたかなと思っていたら、5年位ですっかり枯れてしまったそうですが、そのようにヨーロッパ欧米では、酸性雨の影響で樹木枯れが問題になっておりますが、日本ではまだまだそういう樹木枯れがそれほど問題になっていない。

しかし、日光の白根山の樹木枯れなんですけれども、こういう南東斜面ですね、関東地方から風のくる南東斜面にやっぱりこのように白骨化した木が一面にあって、非常にヨーロッパの像と似ているようなのが出ております。蔵王でも樹木がかれていると。それでその原因は色々わからないけれども、どうも酸性雨、または大気汚染、自動車排ガス汚染が関係してるんじゃないかなといわれております。

それが身近なところでも杉枯れが問題になってきております。これは杉の像、東照宮の杉の像を4種類、衰退度4ということで表しましたけれど、普通、杉っていうのはこのように円錐形になっているのが普通なんですが、衰退してきますとこういうふうに葉っぱがスカスカになってきます。そしてもっと衰退してきますとスカスカになってこういう枯れ枝が見えてきます。そしてもっと衰退してくると表面はもう葉っぱがなくなってくる。

 

 

 

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