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いうとやはり鉄道の高速化は有効です。これも交通の総合評価の考え方です。

もう一つの例は乗り合いタクシーです。乗り合いタクシーをどういうふうに考えたらいいのか、というものです。札幌で考えた場合、料金のコストはキロ当たり260円くらいです。走行距離5,000キロ以下の自家用車は、購入、保有、車庫までの全部のコストを比べた場合、タクシーに乗るより高いという結果が出てきます。つまり毎年5,000キロ以下しか走行しない自家用車は、非常にもったいない使い方をしているということが分かります。5,000キロ以下の人間に着目し、共同利用システムを考えた場合、環境的にもコスト的にも削減できます。こうすると5台使用のところを3台に削減できます。この場合の削減可能率は40%です。われわれの調査では札幌市北区篠路の太平や南区の南の沢などは、その可能性が非常に高い。逆にいうと、このあたりの住民は比較的無駄な使い方をしていることになるわけです。したがって共同利用を求めていくことができるわけです。

冬の交通対策の例をご紹介いたします。冬季間は路面がツルツルになって、速度は非常に遅くなり、渋滞が起きます。これをなんとか解決する方法はないかと考えました。そこで広域的熱供給システムを考えたらどうかと提案しています。すなわち未利用エネルギーを活用して、なるべくロードヒーティングに使える形にしていく、もちろん地域冷暖房にも使えますし、融雪溝にも使う。発生余熱を使ったシステムはデンマークやフィンランドなどにあります。そういっものを札幌に導入してみたらどうかということです。きょうは詳しい話はできませんが、石狩市に熱併給発電所をつくって、パイプラインを札幌市に伸ばしてくる。幾つかの清掃工場、下水処理場の温排水の熱も利用できるようなシステムをつくる。都心部にほとんど雪のない道路をつくるということになります。郊外でも、雪があっては困る歩道にはできるだけロードヒーティング・システムを取り入れていくことになります。規制緩和によってパイプラインのつくり方が影響を受けますが、採算がとれるようなシステム作りは可能です。

都心道路渋滞緩和施策は非常に難しいテーマです。実際に札幌市はこういう形で交通が動いています。われわれが予測したデータも傾向としては同じです。これが冬場やラッシュ時にはどうしても渋滞が進みます。最近は、地下道路がいろいろ議論されていますが、こうした地下道路をつくれば、通過交通量はこの中にかなり入り込んでくることが予想されます。それによる変動を見た場合、例えば6万台が3万5000台になる。その分、地下道路の方に4万台くらい流れることになります。いろいろなパターンの地下道路を考えて計算してみるわけです。例えば、なにも制約のない状態でフリーに走らせますと、集中化によって逆に地下道路が渋滞を起こし、現状より大きなCO2 が発生する可能性は高い。ただ、ある程度の料金を取るなど制約があれば、CO2を減らすことができるのは創成川36号線の地下バイパスです。石山通り創成川になるとやはり増えてしまう。琴似26号線では減ることになる。現状よりCO2 の発生量が増加するのは、地下道路への集中と誘発交通量が非常に大きいということが原因となっ

 

 

 

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