日本財団 図書館


パークアンドライドの専用バスで乗り入れます。市民は離れたところの駐車場に乗用車を乗り捨てて、バスで都心に来なければいけません。都心部は歩行者専用の空間です。

次は、お風呂のバス(bath)の発祥地であるバ-スのパークアンドライドのシステムです。交通戦略として、広域的なシステムを取っています。ここではマルチモーダルの事業、パークアンドライド・システムが進んでいます。フリーウエイは三つのポイントで考えられています。特にマルチモーダルのアプローチと、バス・パークアンドライドは、バスと駐車場を結んだ考え方です。以上がイギリスの一般的な、どんな小さな街でも取り入れている代表的な交通計画です。

ドイツの話もしたいのですが時間がなくなってきましたので、一つだけにとどめます。自転車と車を環境的な面で考えた場合、速度が似通ってくることが分かります。時速15キロと60キロという速度があります。しかし、車を買ったり整備したりするお金を稼ぐ時間を考えると、自転車は15時間でいいが、大きな車を買うには400時間稼がなければいけない。所得の少ない人は470時間も車のために稼がなければいけない。そのロスを考えたら、スピードは大きく減少する。しかも環境的なものが負荷されるので、それによるロスも含めると車と自転車はほとんど変わらないという結論となり、社会に大きくアピールしております。

環境にやさしい運輸のあり方で、私どもが取り組んでいることを少しご紹介します。環境にやさしい交通施策として、これから考えていく必要があるのではないか、というものを学生とブレーンストーミングしてまとめたものです。特に北海道における運輸と環境を考えたとき、いわゆる総合交通評価による軌道系交通の評価や長距離輸送における総合的な交通の評価をやっていこうというのがありますので、それをご紹介します。アメリカでは総合的に交通体系を考えようと、インターモーダル・プランニングをやっています。それに見合ったかたちで、日本のある地域に新交通システム、軌道系のシステムを導入したらどうなるか、しないとどうなるか、社会的損失費用を評価してみました。もちろん新交通システムは軌道系ですから、エネルギー消費とか騒音、大気汚染、交通事故などは非常に小さいわけです。総費用的にはかなり小さいということが分かります。一方、新交通システムがない場合はかなり大きいということが分かります。これは当たり前のような話ですが、こういうかたちで総合的に社会的総費用を計算していく必要があるわけです。

総合的な社会損失費用を計算するもう一つの例として、例えばこのようなものがあります。いま、札幌―釧路間の鉄道の高速化事業が行われたと想定してください。また高速道路の建設事業計画があったとします。こうした競合があった場合、利用者の利便性、公共負担、環境汚染の全部を含めて、総合的に評価した場合にどうなるかを考えてみました。ウエイトが大きいところは、だいたい有利な考え方です。安全性、速達性、料金、確率性、公共負担、環境汚染のそれぞれがどうなのか。ウエイトから

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION