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より決定された4個までの解の中から唯一の風速を選択する「ambiguity removalアルゴリズム」が要求される(Naderi et al., 1991)。この具体的な資料はHalpern et al (1995)に示される。

 

2.7 波浪の測定

 

リモートセンシングによる波高観測では、瞬時のある面積内の空間平均の海面粗度(シークラッター)を測定する。人工衛星搭載の波浪観測センサには、合成開口レーダ(SAR)、マイクロ波高度計(2.3章)がある。マイクロ波高度計の分解能は通常数kmのオーダであるため(SARでは数10mの分解能)、台風時における広域な高波域の監視、地球規模の波浪データの計測などに適している。

有義波高の測定誤差は、±0.5m以内あるいは波高の10%以内のいずれか大きい方と言われており、現場観測の困難な海域において、有力な波浪計測センサーになる。

人工衛星搭載のSARおよび地上設置型のXバンドレーダは、Bragg散乱により、各センサの波長に見合った波長を有するシークラッターからの反射波を計測し、さらに、風波による表面張力波の変調を介して風波の測定を行う。

マイクロ波の帯域より外れるが、HFドップラーレーダ(HF帯域:10〜100m)ではBragg散乱により、波長5〜50mの海面粗度からの反射波を計測する。この波長帯は風波成分であり、SARやXバンドレーダのような波長1cm〜30cmのレーダによる測定よりも直接的な波の計測を可能にしている。すなわち、風波の峰は波長によって定まる位相速度で移動し、これから反射する電波は、ドップラー効果により周波数変調を受ける。これにより風向、有義波高、卓越周波、流れ等が推定できる。

 

 

 

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