海面の高さの推定アルゴリズムについて
GEOSATの海面の高さは、海面と衛星間のレーダー高度計パルスの往復時間から計算される。あるGEOSATの海面の高さのデータはZlotnicki et al(1990)データプロダクトに基礎を置いて得られている。これはcheney et al(1987)のアルゴリズムのバージョンである。他に多くのアルゴリズムがある(Cheney et al., 1987、Chelton, 1988)。普遍的なアルゴリズムは存在せず、正確なモデル関数および大きさは現在の研究の課題である(Halpern et al. 1992)。
あるTOPEX/POSEIDONの海面データセットは、Callahan(1994)によって記述されたGeophysicalデータ・レコード(GDR)に基礎を置いている。衛星と海面の間の往復時間から基準楕円体に相対的な海面の昇降を正確に推定する手法は複雑である。このため多くのアルゴリズムがある(Halpern et al., 1995)。
2.6 海上風の測定
衛星から海上風を測定するセンサには、マイクロ波散乱計、マイクロ波高度計及びマイクロ波放射計がある。散乱計と高度計は、マイクロ波を海面に照射し散乱されて戻ってくる信号の強度から海面の規格化レーダ散乱断面積(σ0)を測定し、この値から海上風の推定を行う。放射計は海面のマイクロ波放射強度から海上風を推定する。現在、海上風の風速と風向の両方が測定できるセンサはマイクロ波散乱計だけであり、マイクロ波高度計とマイクロ波放射計は風速しか測定できない。
マイクロ波散乱計では海面に斜めにマイクロ波を照射し、散乱されて戻ってくるマイクロ波の強度を測定する。図2.15に海面のマイクロ波散乱の入射角依存性を示す。入射角が25〜70°の領域ではマイクロ波の波長と同程度の1〜数cm程度の波長の表面波による共鳴散乱(ブラッグ散乱)が主要な散乱メカニズムである。
図2.16にσ0と海上の風速の関係を示す。ブラッグ散乱領域ではσ0は海上風速の2乗程度で増加する。図2.17にσ0と風向とマイクロ波に照射方向のなす角φの関係を示す。σ0はφに対してほぼ2次の余弦関数の形で変化する。このような海面のσ0の性質はマイクロ波と同程度の波長の短い表面波のスペクトル強度の風速・風向依存性に依っていると考えられる。海面散乱計ではσ0のこのような性質を利用し、異なる幾つかの方向から同じ海面のσ0を測定し、この測定値とあらかじめ得られているσ0の風向・風速依存性から海上風ベクトルの推定を行う。この方法を