1.4 研究の成果
この研究の成果は第2章から第6章に詳しく述べるが、要約すると次のとおりである。
(第2章の概要)
人工衛星によるリモートセンシング技術に関する基礎的知識をまとめた。特にマイクロ波の基本的特性の概要を示し、マイクロ波放射計、散乱計、高度計を用いて、海上風、波浪、海氷等を計測する原理について述べた。
(第3章の概要)
オホーツク海の海氷を、衛星に搭載されたマイクロ波放射計により観測する手法について調査研究を行った。すでに提出され実用化されている数種類の海氷アルゴリズムの特性を調査し、オホーツク海に適用することが可能か検討を行い、アルゴリズムの改修を行った。新しいアルゴリズムにより推定した海氷分布は、気象衛星NOAAによる海氷域と一致し、マイクロ波放射計がオホーツク海の海氷監視業務に役立つことが明らかになった。
(第4章の概要)
合成開口レーダーを用いた海氷観測の有効性について可視赤外センサーとの比較を行い検討を行った。これにより、合成開口レーダー画像が海氷観測に有効に利用される可能性が示された。
(第5章の概要)
海氷の力学的モデルと熱力学的モデルについて概略をまとめた。海氷の力学的変動を記述する数値解析モデルとして、三種類の数値モデルを調査した。ここで取り上げた三つの海氷モデルはそれぞれ異なった特性を持っている。海氷の変動を数値的に取り扱う場合は、その特性を十分に把握することが重要である。
(第6章の概要)
本研究結果を総合的にとりまとめた。