コストが上がってしまいます。コストが上がるものを作りたくないというのは企業の、世の中の本音です。ところが私たちもユーザーが白色度70のコピー用紙でよい、これで十分だということになりますと、製紙メーカーのコストは92で済みます。8%もコストが下がります。もしその紙が売れるんだったらコストが低い紙を作って売りたい。そして消費者の皆さんにも価格の低いものでご提案したい、使っていただきたいと考えるのが企業です。ですから、もし私どもが天然パルプと同じような真っ白い再生紙を使い続けたり、または天然パルフを使い続けるんであれば、いつまでたっても製紙メーカーの経済性は保たれません。なぜ製紙メーカーがやらないかと申しますと、我々が真っ白い紙、真っ白い再生コピー用紙を望んでいるのではないかと、どの製紙メーカーも心配なのです。どの製紙メーカーもこの3種類の紙を作っています。しかし、今実際に市場で売れて使われているコピー用紙は、7割が天然パルプ、残りの3割もほとんどが天然パルプと同じ真っ白い再生コピー用紙です。
ところが、環境庁がこの白色度70使用拡大を全国に訴え始めました。東京都が昨年の10月からすべてのコピー用紙を白色度70に移行しました。日本青年会議所もこの活動をいっしょになって全国に広げようとしています。
おそらく10%ぐらいの企業や10%ぐらいの自治体の皆さんや10%ぐらいの市民の皆さんが白色度70の再生コピー用紙を選択すれば、必ず市場原理に基づいて大手のサプライヤーさんや文具店さん、製紙メーカーさんも、売れ筋がリサイクル商品、売れ筋が白色度70だという市場の新しい動きを関知して、生産ラインを変えるでしょう。販売戦略も変えるでしょう。そうしますと残りの90%の方に必ずしも啓蒙しなくても、製紙メーカーさんやサプライヤーさんが市場原理で再生紙の市場拡大に積極的に進んでいく。
篤志家や良心や道徳心だけに頼るリサイクルから、本業の企業である製紙メーカーサイドにリサイクルのバトンタッチをする。行政の皆さん、企業の皆さん、JCの皆さん、市民の皆さんがどの製紙メーカーの紙でもいいのです。文房具屋さんに白色度70の再生コピー紙を打診してみてください。そして使ってみてください。初めはちょっと高いかもしれませんけれど、このエネルギーが製紙メーカーさんにつながるんです。大量生産という形になってきますから必ずコストが下がってきます。
「オフィス町内会」の発想というのは、経済的なリサイクルシステムを作ることが循環型社会を形成するために寄与するという確信です。どうか皆さんのご自宅や企業や行政の中で使っていらっしゃるコピー用紙を、この3種類の紙で試してみてください。白色度70に慣れますと、このほうが目に優しかったりします。まったく違和感などありません。
どうか白色度の見直しを我々のサービス基準とかライフスタイルを見直す際の一つの例にしていただけたらと思います。どうもありがとうございました。