でも大きな問題をはらんでいる。先ほど、ゴミにするより10円程度安いということで28円のゴミ収集料ではなくて18円の会費を集めていると申し上げました。その18円の会費の使い方なんですが、そのうちの12円ぐらいは古紙回収会社に回収経費としてお払いします。ですから古紙相場が下がってしまっても、回収会社は回収経費をまかなうことができます。
今、43の回収会社と提携していますが、会員企業を網の目のようにグルーピングしまして、回収の車を運行させます。回収経費をキログラムあたり12円、「オフィス町内会」は負担しています。古紙の相場に関係なく回収のルートは確保されます。残り6円はどうするかと言いますと、4人の専従スタッフの人件費、事務所経費または再生紙の使用拡大などの新しい運動の経費をこの6円から頂戴して6円掛ける8000トンですから、4800万円の活動経費がここから出てくる。企業にとってもコストが下がる。回収会社にとっても回収経費が確保できる。そして事務局としても活動資金が確保される。「オフィス町内会」にはこのように3つの経済性が機能しているわけです。
「白色度70」の再生紙を使おう
さて、本題ですが、今年、東京都庁、来年は大阪府、大阪市と連携して新しい運動を展開しています。皆さんのお手元にある3種類の紙がありますが、これはコピー用紙です。私ども企業人ですのでコピー用紙が一番身近な紙なものですから、コピー用紙に着目しています。コピー用紙の生産量そのものはそれほど多くありませんが、コピー用紙がすべて再生紙にかわりますと、古紙のダブツキ量とほとんど匹敵しますので、古紙のダブツキを解消するようなキャステイングボードをこのコピー用紙が握っています。
3000万トン生産されている紙のうち、コピー用紙は60万トンから70万トンぐらいなんですけども、それが再生紙にかわりますと、2〜3%ダブついていると言われる古紙に匹敵します。そういう大きな意味合いもございますが、私どもがご提案したいのは我々のライフスタイルと申しますか、物のサービスのあり方とか基準というもの、または過度な品質みたいなものを見直すきっかけにもなるのではないかと考えています。
この3種類の紙をこうやって見比べますと、ずいぶん白さが違います。この会場の暗さの中でも白さが違うことをわかっていただけると思います。一番上の紙は天然パルプを100%使った紙です。真中の紙は天然パルプ100%の紙と同じ白さの再生紙。一番手前の紙は天然パルプの紙と同じように漂白して真っ白にしてしまった再生紙よりはちょっと白さを控え目にした紙ですが、「オフィス町内会」は適度な白さだと思っています。白色度という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、紙の白さの度合いを示す単位です。私ども「オフィス町内会」は白色度70という再生コピー用紙を使おうではないかという活動を、分別回収とともに行っております。再生紙の使用拡大をしないとリサイクルは回りませんので、3年来、再生紙使用拡大に主眼をおいて展開しております。
どういう経済的な意味があるかと申しますと、「オフィス町内会」は分別する企業側の経済性を作った。そして回収会社側の経済性も作った。事務局そのものとしても、経済性を確保できるということを実践しているわけですけども、紙のリサイクルにとって、もうひとつ経済性がないといけない。それは製紙メーカーサイドの経済性です。これが伴わなければ、残念ですが紙のリサイクルは、本当の意味で経済社会に定着しません。
白色度70の再生コピー用紙は製紙メーカーにとってどういうメリットを持つかというと、天然パルプ100%のコピー用紙を作るコストを100としますと、同じ白さのコピー用紙を再生紙で作るためにはコストが101、要するに1%