上げるんですが、ちょっとだけ分別回収についてどんな経済性があるのかということをお話しします。「オフィス町内会」に加盟している企業というのは、社員に古紙をゴミにせず分別していただきまして、それを「オフィス町内会」の共同回収車が回収する毎に1キロあたり18円の回収経費を「オフィス町内会」に負担します。年間1億4〜5千万円くらいの「オフィス町内会」の会費が生まれます。NGOなんですが1億4〜5千万円の事業規模になっています。この1キロあたり18円をどのように使っているかというと、まず企業から見てどういう意味があるかと申しますと、今、東京都内の企業が紙をリサイクルに回さずにゴミにしてしまいますと、1キロあたり28円50銭の負担金がかかります。28円50銭の負担金を払って、しかも社会的に評価されないような、紙をゴミにすることを選ぶのか、キログラム18円の会費で済み、キログラム10円50銭のコストを下げて、社会的貢献、紙をリサイクルするという運動に協力するのか、この選択をまず企業の方にしていただきました。
8000トンですから、10円50銭の差額というのは馬鹿になりません。年間で8000万から9000万近いコストダウン効果がある。一般的に企業にとりましては業績がよろしくなくなりますと、環境問題ですとかリサイクル問題ですとか社会貢献の問題ですとかは、企業の中では続かなくなるというのがだいたい普通なんですが、「オフィス町内会」の場合は、そもそもコストが下がりますから、景気が悪かろうがよかろうがこの活動は続いていきます。
私たちが考えている経済利益というのは、先ほど村上さんがお話なさった非営利と同じですから、それてお金を得ようとか利潤を上げようとかという経済行為ではありません。一方、どんなによいことでも経済性が伴わないと長続きしません。また、経済性が伴わないと社会に広くいきわたっていきません。
篤志家とか良心、道徳心だけに頼るリサイクルではなくて経済性に裏打ちされたリサイクルを「オフィス町内会」は目指しているわけですが、本日お集まりの方は大変意識が高い方々と承知しておりますので、相当の方が環境問題やリサイクル問題に取り組むお気持ちを持ち続けていらっしゃる。ところが世の中一般的に申し上げまして、啓蒙とか、教育の価値を決して否定するものではないんですが、例えば1億人の人に環境、リサイクルというものを啓蒙と教育だけで徹底できるかというと、ご異論があるかもしれませんが、私は、残念ですが現実的ではないと、そう思っています。世の中に流れているのはやはり経済システムというのが非常に大きなポイントになっています。例えば生産、消費、廃棄という言葉の上に大量を付けて大量生産、大量消費、大量廃棄という言葉が、今、我々の社会の中ではいわば常套句になっている。物を大切にしようとか、そもそもいらないものを使わないようにしようとか、リデュース、リユースという考え方を否定するものではありませんが。
ですから、もしリサイクルをやろうとすれば大量でなければならないんです。大量生産、大量消費、大量廃棄を循環型にしようとするならば、そのリサイクルも大量でなければならない。大量というのはどういうことかと言うと、ほぼ経済的だということです。経済的だから大量生産になる。経済的だから大量に消費されてしまいます。大量に消費されてしまうことをよいとは申しませんが、現実には大量に消費されて大量に廃棄される。この現実を循環型社会に持っていこうとするならば、リサイクルという面で着目するのであれは、大量でなければいけない。となればそれは経済的なシステムでなければならないというふうに「オフィス町内会」は考えまして、そういうポリシーのもとでこの活動に賛同していただく企業が150社10万人ぐらいになっているわけです。
企業の連合体だけではなくて「オフィス町内会」は古紙回収業界の皆さんとも連携しています。最近、古紙の回収業界から古紙の相場が下がってしまって大変だという話を耳にします。古紙のリサイクルはリサイクルの中でもかなり優等生みたいなことを言われていますが、それ