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分かれてしまっている。こうした中で対策を進めていかなければいけない。どうしたらいいのかというのがまず大きな問題だと思っています。

対策といっても、例えば車に乗るのを止めると、それは温暖化対策にはすごくいいわけですが、公共の交通機関が発達していない地方の人たちには実際不便な問題であるし、自動車は日本の基幹産業というのは間違いのない事実ですから、雇用の問題ですごく不安がある。基本的には風力とか太陽電池とか持続可能なエネルギーの開発だとかゴミを減らすとかリサイクルが考えられます。リサイクルは相当手間のかかる活動ですから、省エネとかを併せて考えますと、それ自体が新しい雇用を生んでかなり雇用を吸収できるだろうと思います。少なくとも雇用の移動が発生してしまうし、プラスになるかマイナスになるかといったら、これもちゃんとしたモデルがあるわけではなくて悲観的な予測もあれば楽観的な予測もあり、判断が難しいと思います。

こういう何もわかっていない状況下で対策を決めていかなければならない。だからこそパートナーシップが大事なのではないかというところに話を持って来たかったわけですね。なぜパートナーシップが大事かというとやっぱり今までの政治のシステムというのは中央政府だけが将来のこと、これからどうしていくのかということを決めていたと思うんですけど、それが失敗した例として最近よく挙げられるのはエイズだとかそういった問題であると思います。中央政府の特別な人だけが判断すると情報が偏ってしまうし、客観的な正しさというような、あとからみればあの時ああしておけばよかったと客観的に正しいと言えると思うかもしれないけれど、10年、20年前にエイズの問題を正確に把握することはかなり難しかったと思うんですよね。それを特定の政府のごく一部の人たちが決めてしまったところにまず失敗があったと思います。

地球温暖化問題ではそういう失敗を繰り返してはいけないと思います。将来どうなるかわからない対策を打てたらプラスの影響だけでなく、もしかしたらマイナスの影響があるかもしれない。そういったことを抱えながらまじめに対策を打っていくには、みんなで知恵を出し合っていく。ぼくら先進国の市民だけでなくて、途上国の人たちも含めていろんな人たちが意見を出し合って、ある程度リスクはあるかも知れないけど、それは温暖化のリスクもあれは温暖化対策を打つことのリスクもあるし、そういった中でよりベターな対策を出していく姿勢がすごく大事かなと思っています。

具体的な活動としてどういうことができるかというと、もちろん一人ひとりがやれる活動としてはむだな電気を使わないとか、環境にやさしい製品を買うとか、そういった活動というのはもちろんすぐできるし、地域社会を少しずつ変えていかなくてはならないということで、本日の村上さんの話もわりと地域社会的な話かなと思ったんですけど、半谷さんの話も地域社会と企業社会、そういうわりとローカルに根差した活動を一つひとつ着実に進めていかなくてはならないと思っています。

この辺まではそんなにリスクとかそんなこととか関係ないのかなとある程度思ってしまうんですが、将来的には地域社会そのものをかなりドラスティックに急激に変えなきゃいけないと思っています。そうすると地域の自治体が環境基本条例とか環境基本政策、ローカル・アジェンダを作っていますけれど、そういったところに市民がちゃんと参加する。市民団体として入る方もいらっしゃれば、個人として入る方も多分いらっしゃるかもしれない。市議会などに議員を通して意見を反映させるという方法もあると思います。そういうところにも入っていかなくちゃいけない。

中央政府の役割というのも大きいと思います。ぼくらは中央政府というと雲の上の存在、お上意識がやっぱりまだ残っていると思いますが、そこに対しても声を反映させていかなくてはならない。リサイクルがなぜ必要かという一つの例なんですが、ぼくらは1年間に2.7トンの二酸化炭素を出していると言いましたけれ

 

 

 

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