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しまうことにしました」という決定を企業はできるかというと、自分のところだけまじめに取り組んでも競争に負けてしまって、その会社がつぶれてしまっては意味がないわけです。「熱帯材を使うのはよくないから全部国産材にします」といっても、採算に合わなくてなかなかそういう事業は成り立たなかったりします。

行政は行政でそういう社会の仕組みを変えていくのは行政の役割といえば役割ですが、例えば環境税の導入について考えても、企業セクターからのものすごい圧力があってなかなか理解が得られなかったり、市民の後押しがないとなかなか今までの価値観を変えていくような政策決定には踏み切れなかったりします。そういった足踏みの状況が現在あると思います。一方、市民運動は市民運動で、自分たちでできることにはほとんど限りがあって活動資金がなかったり、仲間を広げるためのツール(手段)がなかったりということで孤軍奮闘になってしまいがちで、なかなか社会の仕組みを変えていくところまで力は及ばないというのが現状です。この足踏み型、孤軍奮闘型の現状を打破する1つのキーワードとして「いっしょにやっていきましょうよ」というパートナーシップに、今注目が集まっていると考えられます。

 

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「市民セクター」ってなんだろう

 

今、社会の構成要素に行政セクター、企業セクターに加えて市民セクターが必要だと、簡単に言葉で語ってしまったんですが、次に「市民セクターっていったい何なの?」という話をさせていただきます。企業の人間も家に帰れば市民ではないか。行政の人間だって家に帰れば市民ではないか。ではいったい誰が市民なのかという議論がよくあちこちでされると思うんですが、私はこのように考えています。

市民、行政、企業という社会の構成要素だったマルを今度はこのマル1つを個人と考えてください。公私混同という言葉がありますが、日

 

 

 

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