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々の糧のために仕事をしている私(公)、家庭生活を営んだり趣味の生活を営んだりしているプライベートな私(私)、この2つから私たちの生活というのは成り立っています。そもそも社会を作ってきた歴史を考えますと、自分のことだけ考えていては自分の安全は守れない。では、どんな共同体を作っていくことがお互いメリットがあるかと、知恵とお金と労力を出し合って作ってきたのが社会のはじまりです。その社会のサービスを今では行政というセクターにお任せしてしまっているというのが現状だと思います。

自分たちの地域をどのようにしていくのか、自分たちの国をどのようにしていくのか、自分たちの生活をどのようにしていくのか。個人の利益だけではなく共同体の利益として考えていける個人の中の部分というものがもっと必要ではないか。これは「市民意識」と言われている部分で(共)、選挙などはこの部分に属します。また、地域活動やボランティア活動に参加することもこの部分に入ります。この「共」の部分に費やしている時間やお金はいったいどれくらいあるだろうかということを、一人ひとり、私を含めて振り返ってみたいと思います。そしてこの「共」に基づいて発言している、行動している個人を「市民」と呼べば理解しやすいのではないでしょうか。こう考えると、「業界や商売の利益を守るための声」や「個人のエゴに近い個人的な利益を主張しているだけの声」は決して市民の声ではないと判断できます。

しかし、この「共」の声、地域市民の声、そういう一人ひとりの声がバラバラではやはり社会に反映させていくことはできません。バラバラの個人の声をどうやって行政に反映させるんだという疑問ももっともです。だからこそそういう声を個人個人の声ではなくて、こんなにたくさん人々がこういうことを考えているんだよというふうに「市民の声」としてオーガナイズして社会に反映させていく役割が、市民団体にあるのです。つまり、市民セクターとは、市民団体・NPOが担っていくものであり、市民団体・NPOを支えていくのは私たち一人ひとりの市民意識であり、そこから生まれる、例えば寄付であったりボランティア活動であったり実際に行うNPO活動であったりすると考えられます。

 

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