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こちで起こっています。このままでは私たち人間が暮らせないような地球になってしまう。私たち人間だけではなくて、いろんな生物が迷惑を被ってしまう。それを引き起こしているのは私たちの生活だということは、「地球サミット」以来、さんざん言われていることです。だからこそ、暮らしを変えていこう、エコライフにみんな取り組もうという動きがあちこちで起きているわけです。生活自体を環境に負荷の少ない形に変えていこうとしているわけです。ここにいらっしゃる多くの方々が暮らしを変えていくことに取り組んでいらっしゃると思います。ただ取り組んでみるとよく皆さんが思い至るように、現在の暮らしを支え、作ってきた社会の仕組みというものがあって、その社会の仕組みによって今の暮らしが支えられているわけで、暮らしを変えようとしても、すぐに今の社会の仕組みにぶちあたってしまうわけですね。

例えば地球温暖化問題があります。車を減らし自転車に変えようとすると、道がとても自転車が通れるようになっていないことに気づきます。ゴミ問題があります。リサイクルに取り組もうとしても、例えば古紙は市場にたいへん余っていて、せっかく分別回収しても次の製品に生かされないという現状があります。それはやはりバージンパルプが安かったりとかいろんな現状の問題があって、それが壁になって、なかなかエコライフの推進生活をエコロジカルに転換するまで難しいところがあります。7世代先までのことを考えて社会を作ろうというようなアメリカインディアンの言葉もありますが、やはりこの社会の仕組み自体を環境保全型に変えていかなければ、また多様な価値観が認められるような社会に変えていかなければ、この環境問題というのは根本的には解決されないだろうというのが、現在の環境問題の特徴だと思います。

 

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今のこの社会というのはもちろん私たちが作ってきた社会ですが、主に社会サービスを担っているのは行政セクターと企業セクターだと言われています。そして、この行政セクターと企業セクターは、今まで物質的には豊かで便利な社会を作るために機能してきたわけですが、その価値観のままでは環境問題は解決できない。今までの価値観や今までの制約に捉われない、もっと先のことを考えた視点をもって、社会をどういうふうに変えていったらいいのかを考え、創造していく新しい市民セクターが社会サービスの提供者として参加する必要があります。もしくは社会を作っていく意思決定者として参加していく必要があるのではないかというのが、今一般的に言われ始めてきたところです。

それぞれ行政は行政で、企業は企業で環境保全に取り組んでいるわけですし、市民は市民でボランティア活動をしたり、それぞれさまざまな活動が起こっているわけです。ただ、それぞれの個別の動きではなかなか進みません。特に、先ほどエコライフをしようとしても社会の仕組みにすぐぶちあたってしまうというお話をしたように、社会の構造を変えようとすると、企業という1つのセクターだけでは変えられません。例えば「自動販売機は電気をたくさん使いすぎてぜいたくでもったいないから全部止めて

 

 

 

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