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です。それをコンテーションイセクトといいますけれども、アジアが共通に抱えている問題というものに我々は直面しています。その意味では、榊原さんが言うように、日本が新しいモデルを提供して、それが普遍性を持ち得て、日本だけではなくアジアにも共通する一種の方法論があり得るのかどうか、成り立つのかどうか。その断面なのです。しかしそのときに、日本は回答を与えていないのではないか、日本は問題ということで一緒に沈んでいっているのではないかという危惧が一方であるわけです。

各国の外交官に最も尊敬されている元国連大使のキム・キョウアンとご一緒したのですけれども、彼は今度のアジア通貨危機・経済危機で、日本は結局、能力を発揮できなかったのではないかと言っています。「最後は日本ではなく、アメリカが韓国支援に駆けつけてくれた。アメリカに非常に感謝している」と言っていました。「韓国は今回の危機を、アメリカが朝鮮半島を韓国にコミットするかどうかの試金石としてとらえた。そのときに、まず日本がアジアに対して新しい処方箋、新しい知的な回答を用意してくれることを期待した。なぜならば、アジアの国々はあまり大きな声では言わないけれども、やはり日本が先頭で、日本の後ろ姿を見て必死になってやってきたからだ。経済開発にしてもそうだ。だから、日本の動向を凝視しているのであるが、日本の次のステップが見えないことが最大の問題だろう」と、このような発言でした。そういう形で新しい日本パーセプションが生まれていると思います。

さらに、今回のアジア通貨危機をみると、中国、台湾、香港は当面無傷です。少しは傷められていますけれども、かなりの程度持ちこたえています。韓国ウォンに一番鋭敏に反応するのは台湾ドルで、ある段階まで連動しましたけれども、ある段階からは切れています。一方で韓国、インドネシア、タイなど、つまり日本モデルを非常に意識しているところが軒並みすさまじいゆらぎ方をしています。こういうものを見て、日本モデルと中国モデルでは、中国モデルが有利であるという見方が生まれている。私はそういう見方には立ちません。中国の人民元の切り下げは時間の問題だと思っていますから、多分もっとひどいショックが起こるのではないかと危惧しています。

きのうも、サーベインズ米上院議員が来られていて、お会いしました。あの方はローススカラーで、メリーランド出身の民主党の大変な国際派で、私が最も尊敬している上院議員の1人です。彼は、「中国が今のアジア通貨危機であたかもインピンンシブルであるかのように見られているけれども、自分はそうは思わない。アジアの一部に自由化

 

 

 

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