へ持っていっても、なかなからちが開かないことは確かです。ですから、もう少し専門的に、非常に複雑で多岐にわたる行政の法体系を扱ってみようではないかという考え方はいいと思います。ただ、憲法でも言われているように、行政裁判所的なものが最終の裁判所になることはできないと思います。最終的にそこで不服だった場合には、一般の裁判所のシステムの中に入っていく。つまり2審、あるいは最高裁レベルでは、そっちへ持っていくことになります。
ですから、行政裁判所で、たくさん発生する問題をきちんと整理していくのは、手だと思いますが、通常の司法のシステムの中に組み込まれていきますので、位置付けの問題は、多少あるのかもしれません。
それから、地方自治体に司法機能を持たせるということについて、例えばアメリカの州のレベルのものと似たような発想はいいと思うのですが、歴史的な経緯を考えると、先ほどAさんもおっしゃったように、アメリカの場合は州が国として始まったのに対して、日本は確かに歴史をさかのぼれば国のように機能していたこともあったかもしれませんが、非常に長年中央が権力を牛耳って、残念なことに地方に人材が育たないような世界を作ってしまった。
つまり、このカリフォルニアほどの大きさしかない国が、三十幾つにも分かれて、個々の司法機能を持つことは、人口や人材の分散も含めて、機能を確保できるかという点で、少々難しい問題はあるのかなという気はいたします。
E ただ、条令はこれから少しずつ変わったものができてくる。それを自治体の行政委員会で処理するとなると、やはり行政優位は変わらないのですよね。だから、何らかの簡便な形で考えられないかなと思っているのですね。
D 少しいいですか。
この改革をやれば、法律実務が飛躍的に増大するわけで、インフラ的な面で、ひとつは司法試験の改革ですね。この質を落とさないで、いかに実務家をたくさん育てるかという、司法試験の改革の問題と、高度情報化を全面的に導入して訴訟をリードアップしていかないと、対応できないのではないかという気がするのですが、これについての先生のご見解をお伺いしたいのですが。
田村 簡単に申しますと、司法試験の改革は確かに必要だと思います。日本の場合、司法試験はものすごい大変な試験だと位置づけてしまっている。われわれの友人でも、