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Bさんが日本と闘っていたときは最悪の時代だったのではないでしょうか(笑)。日本人は自分たちのやっていることを全く悪いと思っていなかったのですから、何を言われても「うまくいっているのだから放っておけ」という感じだったのでしょう。もう理屈の問題ではなかった。

B 逆にもっと保守的になる可能性はないですか。これだけ倒産しているから、公取がさらに競争政策を促進したら、もっと倒産してしまうのではないかというわけで。だからむしろ公取が抑えていくという可能性はないですかね。

田村 そういう力が一時的に働くことはあるかもしれません。けれども、それは別の勢力との関係も問題だと思います。例えば建設の世界などを見ていただいても、公取がやっていても、談合的な体質がいまだに抜けきらないでいます。しかし、今はもうご存じのように、水面下では建設の世界は完全に破綻をきたしていて、地方レベルでも、いつ一斉に倒れていくかわからない状況がありますので、これは倒れ始めたら、もう談合体質なんて言っている場合ではなくなります。今は、つぶれたら困るといって、ものすごく内向きで守りに入っていると思いますが、もう続きません。タイミング的には、残念ながら時期は来たのかなという感じはします。

司会者 他に、特にございませんか。

E 本当は司法機能を強化して、私人間の訴訟を活発にする必要があるのですが、とりあえず先ほどBさんもおっしゃった、どこから手をつけるかという話になります。行政裁判所のように、行政事件だけを専門に扱うようなシステムを作って、裁判官だけではしようがないから、ここに書いてあるような陪審制度、あるいは参審制度というものを、それに限って実験的に導入するという形で、とりあえず、行政と民間との争いについて、今のチャンネルとは別のものを作るということで、とっかかりを作るという考え方についてどう思われますか。

もう一点は、急には難しいにしても、これから10年後、20年後、分権が進んだときに、地方自治体が条令を制定して、条令もやはり法律ですから、それに対する司法機能を、今のような国の裁判制度というだけではなくて、地方政府が司法機能を持つということについて、どう考えたらいいのか。この二点、少し教えていただきたいのですが。

田村 建前的にと言っては失礼ですが、理屈としては非常に理ありだと思います。例えば、行政裁判所というのは、どういうシステムでやるのきちんと議論しなければいけないと思うのですが、確かに行政の問題が非常に多い中で、地方裁判所のそれぞれの所

 

 

 

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