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最初の数件が報道されて以後、まとまった調査の結果を私は聞いていません。もし、またあればご連絡いたします。

それから3番目のCDの独禁法の件に関しては、通産省が、正式名称は忘れましたが、独禁法の執行力を高めるための研究会を行い、いわば公取の縄張りに触れるようなことを行いまして、私人の訴訟を認める議論をやろうとしました。しかし実際には、通産もそうやってインターフェアするわりには、独禁法そのものを使ってという議論は、やはり公取のテリトリーなのでさすがにできなくて、不正競争防止法などを挙げてしか言わなかったわけです。結局不正競争防止法では、プロパーな問題はなかなか扱えないので、いちばん大事な所に手が届かないような話でした。ただ、通産は私人の訴訟を非常に支持したというのがあります。

独禁法の研究者の間で、私人の訴訟をどう考えているかというのは、先ほども簡単にお答えしたように、残念ながらそういう雰囲気は、今は全くありません。非常によくできる民訴法の分野の院生といろいろと議論するのですが、やはり民事訴訟などの世界から考えると、独禁法というのは非常に異質で、これは裁判所などで普通に扱われるはずのものではないという感じの話にすぐになります。どうも、こういう経済関係の法律は、日本人が勝手に育てあげた、大陸法的なシステムの中になかなか根づかない。そういう変わったものを導入することに関して、異常な抵抗感があるということで、なかなか市民権を得られないのです。

事業者団体の話が先ほど出ましたが、専門家の学会でも、例えば事業者団体がマーケットへの参入の排除の手段になっているということを話したりしたら、「いや、公取は事業者団体への法律の適用をいちばんやっているじゃないか」というような反論を受けるのです。何と比較するのかというと、日本において数少ない運用の中で、事業者団体の運用が多かったら、これでやっているという話になるわけです。

何が恐いかというと、私が「いや、やってない」と言った場合に、最大の問題は証拠を挙げることが難しいということです。公取が知っていて運用していないのでしたら、それはやってないということになりますが、運用しているではないですかと、日本は、学者も含めてみんなそうやって思い込んでしまっている。摘発された事件以外に違反している例が他にどれだけあるのか、数字を示すことができない限り納得してもらえない。これではらちが開かないなと思うこともあるのですが、業界の方と少し話をすると、「大

 

 

 

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