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かるのですが、行政指導というのは、コンセンサス作りなのですよ。どういうことかというと、みなさんよくご存じの通り、ソニーさんどうですかと呼ばれるわけですよ。職員の揃っているところに通されて、「こう考えます」と。それから30分ぐらいすると松下さんがくる。それで主なところで聞いて、この辺が落としどころだなといって、大義に基づいて指導するわけです。みんな知っているわけですよ。通産省はこのごろあまりやらなくなってしまったけれども、厚生省でも、薬品は全部それですし、おそらく郵政もそういうところがあるわけです。

あるアメリカの会社が、パチンコを作って日本で売りたいと言ってきたのです。聞きに行ったら何が起こったかというと、ルールはない。認可されるパチンコの設計図は、警察庁の奥にしまってあって、それは見せないことになっている。それで、業界と話さないとだめなのですよ。ですから、行政指導のことを考える場合には、業界団体がものすごく大きいということを、外資系の人とか、外資を代表している弁護士の人はすごく感じているようです。これが第一点です。

もうひとつは、内規のことは法律的にはどう考えるかわかりませんけれども、日本では有権解釈ということばがあって、それが何なのかよくわからないのだけれども、あるときワシントンで、日銀の人と大蔵省の人と10人ぐらいでパーティーをやって、仲良くなったから来いと言われて行ったのです。そうしたら、私だけが民間人だった。それで「有権解釈ってとんでもないよね」と言ったら、大蔵省のある若い官僚がこう言ったのです。「Aさん、そんなことはない。私たちは同じ大学に行って、同じ先生から習っているのだから、間違えるはずがない」と言うのですよ(笑)。それはあまりにすごい。やはり行政はオールマイティーだから、最終的に、自分たちがわからないところは、自分たちが解釈するのが法律になるという考え方が、少なくとも、一部の官僚にはある。だから、さっきの法政策学のところで、省令をおろしていくと、どんな国でも法律だけではできないことがあって、そこのところをどう手当てするかというと、日本の場合には行政官が有権解釈するのだし、アメリカの場合には訴訟を起こすわけです。だから、判例がたまっているか、たまっていないかというところが、ものすごく大きいですね。AT&Tなんて、判例ばかりあるのですよ、きっと。AT&Tはけしからんといって、訴えられて(笑)。

田村 Bさんは、行政手続法の実施の功罪については、先ほども言いましたように、

 

 

 

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