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法から戦後の憲法に変わるときに、そういういった議論のないまま、戦後の憲法は本来そういうことは認めない、つまり独立した機関は存在し得るということで、憲法を導入した。これはいまだに自主憲法制定うんぬんという議論がある中で、戦後アメリカからもらった憲法は、日本人のあらゆるセクターに根づいた憲法なのかというと、そうはなっていない。ですから、今の憲法に基づいた議論をきちんとしていって、理論的に説明すれば、いまどき行政控除説みたいな考えがあっていいのですかということになる。にもかかわらず、内閣法制局のような、戦前からの先例を守ってくるような人たちは、現在の事情と関係なく、事実上法のような形で議論するのでしょう。

A その伝統は、とても強いですからね。ご承知の通り、内閣法制局は法解釈学の真髄みたいなところです。

D 国会の商工委員会、それから、新進党に所属しています。

大変興味深いお話を伺いまして、新進党自体といたしましても、きわめて賛同している方向でございます。私ども、改革と言っていますが、主要改革、重要な一分野としてとらえておりまして、私たちの標榜している、今までの規制による事前チェック型、特に行政が中心的役割を果たして、司法がおこぼれちょうだいという、規制による事前チェック型から、原則重視で、透明、公正なルール、自己チェックシステムへの転換、基本的な主要パラダイムの転換を私たちは考えています。

なぜそれが必要かということについて、私たちの認識は、先ほどのなぜ行政がオールマイティーかという質問と絡むのですが、今の日本は、歴史的な転換のときにあって、今までの日本社会の基本的なパラダイムを切り替えなければならないということで、英米の市民革命、産業革命のように理性的に民主主義、市民主義が発展した社会の価値観に、後進国型が追いつくために、中央集権的な形のところを選択的に取り入れて、どうしても官僚依存型の構造をとらざるを得なかったと。そういった「追いつき型近代化パラダイム」というのが全面にあって、あるゆる解釈も一様にあるということが、行政優位の最大の理由だろうと私たちは考えています。

それがもし、うまくいっていれば、日本型というものがあってもいいと思いますし、法律の建前があって、運用面でうまくいっていれば別に問題はないと思うのですけれども、ただ、今そのやり方でやることは、逆に日本に急激な衰退をもたらすと思うわけです。追いつくまでは有効であっても、追いついた後は創造革新能力が欠けているので、

 

 

 

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