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とが全部ネックになって、運用することはできない。新たに法律を作っても、過去のものには使えませんから意味がありません。要するに、何で今までやらなかったのかということが、ずっと残ってしまう。おそらく検察は、どこかで線を引いて、一気にいくということになるのだと思うのですが、そうでもしない限り、当然正義は果たされないということになる。公的資金導入うんぬんといっても、正義は果たされないわけです。

紛争解決の手段としての訴訟を、必要に応じて行っていれば、世の中ももう少しうまく回ったのに、一切それに頼らない。全部枠内で解決するという方向性が、残念ながら今の産業を、あらゆる意味で生んでいることは事実です。

次に、法のインフラの未整備という問題についてですが、インフラという言い方が非常に漠然としていて申し訳ないのですけれども、あらゆる法律のストラクチャーが整備されていない。例えば、金融監督庁を独立させたからといって、いわゆる監督主導、行政指導型のやり方でやる限りは、今言っているような問題を全部解決することはできず、アメリカの証券取引委員会型、あるいはアメリカの連邦取引委員会型で、ルール違反者は、きちんと処罰するやり方に転換する必要がある。つまり、日本では唯一検察がやっているようなことを、経済の世界でもルールの執行者をきちんと設けて、違反者を罰していくというシステムをやらないといけないわけです。そのためには、実は足りないものが多い。何かというと、行政では、今官僚が多いから減らせと言っています。しかし、ルール執行型の行政に変わるとすれば、これは役人の数は増えざるを得ない。これを日本人は全然わかっていない。役人の数をどんどん減らせなどと言ったら、ルール執行型のシステムを、最初から数字の上であきらめているのではないかと言わざるを得ない。ただし、これは権限を持った官僚という意味ではなく、いわゆるルールをきちんと執行する役人というレベルの人たちが増えるということですから、若干次元の違う話かもしれませんが、結果として数の上では増えざるを得ないわけです。

それから、裁判所が必要に応じて、それらを気に入らないといってくる人たちを、すぐ扱ってあげるシステムも必要だということになります。

最後に、アメリカの法律がいいのか、日本の法律がいいのか、ヨーロッパの法律がいいのか、アジアの他の国の法律がいいのかということはわかりませんが、ひとつの参考として見ていただきたいのは、資料の4で、連邦法と州法の関係を一部分だけ紹介しています。アメリカの法律が全ていいということをここで言うつもりはありませんし、今

 

 

 

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