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と言い訳をするわけですが、やはり一般的な印象として、弁護士にアクセスしにくいというのは事実です。官僚の方々も、東大法学部を出ているから、弁護士と同じようなもので、法律家ではないかとか、司法書士も法律家ではないかなど、さまざまな議論はありますが、結局個人にとって、問題を解決してもらえる人というのは弁護士しかいないわけで、その人口が非常に少ないことに変わりはありません。他にも、広告制限や報酬規定というものが存在して、これについて深く言及しませんが、これも極端なことを言えば、カルテルではないかということになります。しかし、私がここで主張したいのは、カルテルはいいにしても、広告の制限や報酬の規定を設けようとすればするほど、国民が非常に接近しにくい、親近感を感じない世界となるということです。広告もやりようによっては問題だと思いますがも、むしろ、どこにいるのか、果たして接したときに恐くないのか、そんなことすら一般の人にはわからないことの方が問題だと思われます。

例えば、私のところに、弁護士さんに相談したいのですが、自分の抱えている問題を弁護士さんに相談すると、弁護士さんがそれを全部知ってしまうことが困ると言いにくる人がたくさんいます。そんなことを言っていたら、本質的に問題は解決できないのに、自分の問題をさらけ出すことができないから、信頼できる人にしか私は相談できない、だから弁護士には相談できないということを言う人たちが、まだ世の中にいるぐらい、弁護士に対する信頼感・親近感はないのです。報酬に関しても、一般的に高いのではないかという印象があります。

次に、民事訴訟法、行政手続法のところにいきます。民事訴訟法は、70年ぐらい改正されていなかったのですが、やっと改正されました。これはアメリカなどのシステムを参考に、お互いが情報を隠している状態をなるべく回避していく方向で持っていかなければ、訴訟がなかなか公平な形でできないということで、情報開示の手続き等アメリカのいくつかのシステムを導入する形で改正されました。しかし、最初にも言いましたように、民事訴訟法が改正されたとしても、例えば弁護士さんへのアクセスが不十分だった場合、結局その効果は現われてこない。すなわち、法が「床の間に置かれた飾りもの」になってしまうのです。この端的な例は、製造物責任法なのではないかと思います。製造物責任法の制定の際、さんざん議論があったのですが、制定されて2年、3年くらいで、全くその話を聞かなくなってしまったほど、また床の間に飾られてしまったという感じです。

 

 

 

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