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レジュメの方に戻りまして、2の「現在の司法の問題」を簡単に説明したいと思います。まず裁判制度についてですが、訴訟費用と弁護士費用があり、訴訟費用はかかるといっても、裁判で勝った場合は負けた側が払ったり、あるいは訴訟のタイプによっては、裁判所が分けなさいということになります。従来この訴訟費用について、さまざまな問題が指摘されてきたのですが、今は大分解決が図られ、費用そのものの額も引き下げられているという話もあります。しかし、長期間にわたって訴訟費用がかかるという問題や、それと別個に弁護士費用がかかるという問題など、まだまだ課題は残っています。この辺はAさんに補足していただきたいのですが、弁護士費用というものは、必ずしも裁判所は敗者が両方の弁護士料を払えという判断をするわけではありません。ですから、結局自分が弁護士を雇って、闘う分は払わなければいけないので、裁判に勝った場合にも、弁護士費用がかかり過ぎた場合には、赤になるようなこともあるかもしれません。そういう意味では、訴訟に対するインセンティブはなかなか働かない。

恐いことは、1の2での問題となった行政との関係です。行政事件というのは、原告の勝訴率は約10パーセント程度と言われています。ただし、これでもわれわれから見たら、多いという印象があります。なぜかというと、行政訴訟において、行政側は自分たちの威信がかかっていますから、負けるわけにいかない。お役所がどうするかというと、当然自分の負担ではなくて、言っては悪いですけれども、国民の税金でやっていますから、第1審で負けたとしても、2審3審へは当然行くわけです。勝つまで闘う。すなわち、行政事件をやるとしたら、1審で3〜4年かかって、勝ったとしても2審3審へもっていかれ、最後は最高裁へ行く結果になるわけです。10年ぐらいはかかりますよと言われて、だれが行政事件をやるのでしょうか。よほど、それをライフワークにでもしていない限り、まずあり得ないわけです。

この行政事件に対しての問題は、今言ったように、行政が法であるという問題と非常にリンクしています。最後のチェックで「行政の判断をおかしいと思うから、争わせてもらいたい」と思っても、道は開かれていますよとは言われるのだけれども、現実的な道は開かれてないということで、結局行政の言った通りになってしまうわけです。

それから、弁護士の人口。これはよく言われてきて、Bさんもいろいろと議論なさってきたことですけれども、アメリカから非常に少ないと指摘されます。日本はいろいろ

 

 

 

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