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例えば、資料2を見ていただきますと、これはGATT4/WTOのことで、研究会でいろいろやらせていただいておりますが、一例として挙げさせていただきますと、これは行政指導ではなくて、行政がいかに法を牛耳っているかというような参考になります。この資料2の「国内法のとらえ方」と書いてあります2ページ目、「法律、政令、省令、告示、ガイドライン」と?@から?Dまで書いてあります。実は法律というのは、仮に立法が独立してがんばったとしても、作ることができるのは基本的にこの?@の段階だけなのです。それ以外は下に落とすというやり方、つまり、法律の委任を受けてという形で、下のレベルに落としていくわけです。下へ落とした途端に、ほとんど国民の目の届かないところに、いきなり法律が入っていってしまう。

そういうことで、?@の段階では、まだある程度の透明性があって、議論ができるのですけれども、もちろん日本の場合には、これもおろそかであるのかもしれません。それが政令、あるいは省令で行なうといった場合に、私がこの研究会でもいろいろと申し上げたのは、GATTのウルグアイラウンドを受けて、国内法を改正、修正することを提案しましたが、日本の役所はどうするかというと、法律はもう変えないのだと。このままで結構ですということで、私が最初からこういう話を一生懸命申し上げたにもかかわらず、書くのは結構だけれども、こんなものを変えたら大変なことになりますよと。変えるプロセスを考えてくださいと。そんな面倒なことはやっていられませんと言って、いきなり法律の話はアウトにされて、政令から下で考えてくれと抵抗される。ただ、政令も他の役所との関係があるから、これもやめてくれということで、どんどん下へ持っていかれて、私は何のために呼ばれているのかよくわからなかったという話になってしまいました。

最終的には、せいぜい省令。これはどういうことかといいますと、各省所管の、通産省、大蔵省というところが、自分たちの都合で決められる。ただ、これは一応法律に準ずるということでありますけれども、そこでのチェックが働かないために、わりと自由にできる。これはウルグアイラウンドの合意を受けてということなので、国民そのものに、ネガティブな影響を与える話とは違ったものかもしれませんが、おそらくこのようなことが、どんなことをする際にも行なわれている。なんとか省令か告示ぐらいで処理したいから、先生方、あまり興奮して、上のレベルで扱いたいという話はしないでくださいというふうに、最初から牽制されてしまうのです。

 

 

 

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