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に黙ってくれたという経験があります。

そういうことで、アメリカ人が法律と思っているものと、日本の法律は全く違う位置付けになっています。それで、この言葉を借りました。

話が現在のことに飛びますけれども、1の(2)で現在の状況というところをみてみますと、これは皆さんがよくわかっているように、行政が法であるという問題があります。これはいろいろな形で説明できるのですが、ここでの重要なポイントということで話しますと、要は三権分立という考え方が仮にあるとしますと、立法と行政は分離されていますかという質問に対して、皆さんが少し考えていただければおわかりのように、法的な視点からみた場合には、分離されていないという結論になると思います。なぜかというと、最近は議員立法が多少みられるようになりましたけれども、ほとんど完全に行政が牛耳っていると。ということは、法律の視点からみた場合ですが、行政と立法は一緒になってしまっている。

では、三権分立の三番目は司法であります。司法はどうなのかというと、日本において現実に司法が唯一のチェック・アンド・バランスの機能を果たすものであるにもかかわらず、この司法は、残念ながら立法と行政に対する抑制を働かせるかと思ったら、この後の説明でも補足しますが、裁判官の官僚化とかいろいろな問題や、裁判に必要な法、弁護士に関しても、法律で定められていますが、こういったものに対して、結局行政が立法と一緒になって司法を押さえ込むことが、法律という制定のプロセスの中で可能になってくるわけです。

簡単な説明で申し訳ありませんが、結局は、三権分立というものは、日本の場合、事実上存在せず、行政が法であるという状況が非常に強く存在するわけです。

さらに、皆さんにも資料という形でお渡ししていますものを簡単に説明させていただいて、さらに詳しくという場合には、資料をぜひ読んでいただきたいと思います。

まず、資料1の日本の法制度の問題で、今私が話しているようなこと、これは「ストップ・ザ・日米摩擦」という、島田晴雄先生と共著で参加させていただいた本の第5章の内容に関連するのですが、今まで日米摩擦の議論の中で、法律の話というのは、少なくとも日本サイドからは全く出てこなかった。

それから、行政指導のところは、ちょうど2番目と3番目の資料が関係してきます。これらは、私が別の研究会で少しまとめたもので、それがコピーで入っているわけです。

 

 

 

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