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第1部 発言内容

 

司会者 今日は慶応大学の田村次朗先生をお招きいたしまして、日本の「法的枠組みの改革に向けて」という非常に大きなテーマでお話をいただくことになっております。

いわゆる行革では、経済改革、財政改革、金融改革、いろいろな話がありますけれども、結局、行き着くところは非常に幅の広い社会改革であり、その基礎である法的な枠組みの改革であるということで、今日はぜひ思い切った問題提起をしていただきたいと思います。

田村次朗先生については、ご説明の必要はないと思いますけれども、この分野ではまさに日本の第一人者でいらっしゃいまして、アメリカ等の経験をふまえて、非常に幅広い活動をしておられます。お手元の資料の中に略歴がございますので、参照していただければと思います。

それでは田村先生にはどれくらいの時間お話をいただくのがよろしいでしょうか。

では1時間ぐらいお話をいただいて、質疑応答ということでお願いいたします。

 

1. 講師報告

田村 今日は本当にありがとうございます。私の都合で時間等が変更になり、皆さんにご迷惑をおかけしたと思います。司会者ともお話させていただいて、こういった話をなるべく早く、少しずつ世に出していき、研究を進めるべきではないかということで、今日はそのイントロダクションをお話させていただこうかと思います。

最初にお断わりしておきたいのは、私自身の専門分野は国際経済法で、独占禁止法や通商法、これも確かに、今話題の分野であるわけで、この専門分野ひとつをとっても、今、日本が非常に大きな問題を抱えているのです。それなのに、なぜ私がそれをさらに大きく、法制度改革という大胆な話に持っていくのかということですが、これは根本に関わる問題であるからです。しかし、全く初期の段階で、それをまずお断りさせていただきます。

独占禁止法という法律ひとつとっても、ここでは細かく説明しませんが、日米構造協議等を経て、アメリカから「日本は独占禁止法を50年前から持っているのに、何をやっているんだ」というふうに、再三批判をされたわけです。それに対して、日本側はいろいろな説明をしてきたわけですけれども、正直、どれも説得力のある説明ではなかった。つまり、もし日本が独占禁止法がいやであるのならば、それは法律として存在すべきで

 

 

 

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