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? 素晴らしい資源は存在するが、広大な地域に散在していること。

? 交通施設の整備が遅れていて、鉄道以外頼れるものがなく、かつ、座席の確保が艱難で、予約が不可能であること。また、鉄道の旅行は時間が著しくかかること。鉄道を下りてからの道路の状況がひどい状況にあること。また、空港は未整備で機材もソ連製の旧式のものであり、輸送力が劣り、信頼性に欠けること。

? 宿泊施設が未整備で、快適な滞在が期待できないこと。

? 観光客用のバスが不足し、あっても乗り心地はひどく悪いこと。

? 飲食施設が不足し、現地の食事が日本人の口に合わず、満足な食事が出来ないこと。水が安心して飲めないこと。

? 日本語ガイドがおらず見学が満足に出来ないこと。

? 悪臭フンプンたるトイレに辟易させられること。

? 旅行シーズンが夏場に限定され、本格的な観光開発に取り組むことに困難があること。

等でした。

 

(2) 現在の状況

現地を見て感じたのは、状況は大幅に改善されつつあると言うことです。

? 空港の整備や道路の整備が急速に進み、将来を目指してなおいっそうの整備が進むことが期待できること。また、航空機材は欧米製の大型機材の導入が進みつつあり、空港ターミナルの近代化も推進されていること。

? 光ファイバーの敷設などにより通信事情は大幅に改善されていること。

? 主要観光地には、2スターまたは3スターのホテルの建設が進み、鍵のかかる、冷暖房付きで24時間お湯の出る部屋、清潔なリネンサプライ、暖かい食事等が期待できるようになってきていること。

? 観光客用のバスが質量ともに改善されてきていること。

? 日本語ガイドの養成が進み、質量ともに改善されてきていること。

? 少なくともホテル内、主要観光地点における有料トイレの水準は大幅に改善されてきていること。

? 莫高窟等のすでに知られた資源以外に河倉城、楡林窟、魏晋墓等の新しい資源が出現し、今後も無限の可能性を秘めていること。

等の点が上げられます。

今回も莫高窟に大阪の聾唖者の団体がきていて、見学を楽しんでいる姿を見ております。

玉門関、楡林窟等の不便な場所に行くことを避ければ、今やシルクロードは通年観光が可能となりつつあり、空港、道路の整備とともに、周遊観光が容易な地域が増えつつあると感じました。

いささか先走りのきらいもありますが、女子供でも行くことの出来る観光地になる日も間近いものと思われます。

 

(3) 今後の課題

シルクロードを取り巻く環境用件が従前に比べて大幅に改善されたといっても、安全で快適な旅行という面ではまだまだ改善すべき点が少なくありません。

早急に改善につとめるべき点として次のような事項が挙げられます。

? 主要観光地点間を移動する際の途中における案内標識、休憩施設の改善《トイレ、土産物店、軽食(弁当の習慣がないようである)、湯茶サービス》や新たな観光魅力の発掘

 

 

 

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