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● 新井 佼一、国際観光開発研究センター・専務理事の講演

「シルクロード旅行−その魅力と現状−」

【スライド映写によるレクチャー要旨】

 

1. 中国におけるシルクロード旅行

日本人海外旅行者は、1995年には1,530万人(スライド−1)、96年には1,670万人に達し、今世紀末には2,000万人、21世紀の早い時点で3,000万人を越えると予想されています。

1996年に100万人以上の日本人旅行者を受け入れている国または地域はハワイ、香港、アメリカ本土、韓国、中国、シンガポール、イタリアの7ヵ国であり、50万人から100万人以下が9ヵ国となっています(スライド−2及び3)。

中国に行って、観光当局の関係者の方々と話をしてみると、外国人旅行者に人気があるのは三峡下りとシルクロード旅行であるといいます。そして、シルクロード旅行は日本人旅行者がパイオニアとして開拓したものだという評価をしています。

 

2. 西安、蘭州、嘉峪関、敦煌

昨年2月に西安、蘭州とまわり、10月には敦煌、嘉峪関、蘭州と回りました(スライド−4)。

 

(1) 西安の観光資源

西安では、大雁塔、華清池、碑林、兵馬俑、法門寺、陝西省博物館などを見学しています。

華清池では娘さんたちが春節の踊りの練習をしていました。本番は衣装を着けて行うのでしょうが、普段着での練習風景です(スライド−5)。このような伝統的な行事が観光客を喜ばせるものとなります。

兵馬俑は素晴らしいものです。2度目に訪れたときには、発見者の農民である楊さんがブローシャーにサインをするサービスをしていました。

 

(2) 蘭州の観光資源

蘭州市内には白塔山公園等の史跡があり、甘粛省博物館の収納物には貴重なものが多数含まれています。しかし、ブローシャー、絵葉書のたぐいは皆無なのは残念でした。

郊外には炳雲寺の石窟があり、劉家峡ダムのおかげで船で行けるようになっています。しかし、船、船着き場ともあまりにもみすぼらしく、また、船の速力が遅いのも難点です。

2月に白塔山公園に立ち寄ったときは、春節ということで少数民族を含む各地の民族舞踊団がきていて、それぞれの演物をしていました。山西省からきていた鼓舞団が太鼓とドラの踊りを披露してくれました(スライド−6)。このようなものも立派な観光資源です。

 

(3) 敦煌の観光資源

敦煌では玉門関、陽関、鳴砂山、月牙泉、莫高窟等よく知られたものに加えて、河倉城、楡林窟等未公開の観光資源も見学することが出来ました。

河倉城は武器、食料などの倉庫の役割を果たしており、昔は川の水位が高くて、物資は船でこの城に運ばれてきたと言います(スライド−7)。かなり崩れていますが、昔のスケールを偲ばせるものがあり、公開されれば新しい観光資源となるものと思われます。ただし、ここに至るドライブは案内標識もなく、休憩所も存在せず、過酷でリスクを伴いので、一般向きのものとするためには、かなりの改善が必要です。

 

 

 

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