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を催しに惹きつけるのですが,地域の協力なしにこれらを達成することは不可能です。住民の参加を奨励する為に、計画段階は公表すべきです。そうすることで、企画者側と地域住民側の双方が計画案を立案段階で検討する機会を持つことができるのです。

三番目に、催しの開催時期が大変重要です。日程はできるだけ早く決定しなくてはなりません。旅行代理店の定例の観光ツアーに組み込んでもらえるよう、できれば、今後も同じ日程に固定する必要があります。何らかの理由により日程を固定するのが無理な場合には、遅くとも催しの6ヶ月前までには日程を定めなくてはなりません。日程を決定する際、従来の祭の日程の他にも考慮に入れるべき要素があります。地域社会の人々を最大限に参加させる為、その地域の主要産業が多忙な時期は避けるべきです。また、観光施設の利用を拡大する為、できれば催しはシーズンオフに開催することです。

四番目に、催しは観光客と地域住民双方の為に開催するということに留意すべきです。その為、単なる形式的行事はできる限り避ける必要があります。また、地域文化についての説明は、観光客に分かりやすい形で行なうべきです。時間のかかる公式行事や特殊な専門用語を用いた複雑な説明は、今日では退屈だと感じる人が多いのです。地方自治体のトップが任期中に達成したことを誇示する目的で催しを利用しようとすれば、その催しは充分機能を果たすことができないでしょう。

五番目に、催しを改善する基本的な方法は、その催しの評価を判定することです。時に主催者は調査費用を出すことに否定的です。しかし、催し全体の予算から見ると調査にかかる費用の割合は微々たるものであり、反対に調査の結果得られる利益はかなり大きいのです。評価は客観的且つ体系的に行なうべきです。催しを来訪者の視点で評価する為には、来訪者調査を毎年行なうことが必要です。この来訪者調査を分析することで、来訪者を満足させる主な要因を見極めることができます。このように主要因がはっきりすると、その後の催しを改善する際に大変役立つことになります。更に、催しによる地域社会への経済効果も計る必要があります。経済効果を分析することによって、催しが地域経済の活性化に主にどのような貢献をしたかを主催者が容易に理解できるようになります。催しの影響に関して数値的な計測を行なえば、地域住民の参加や民間組織の積極的な関わり合いを増やすことにもつながるのです。

 

フィリピンにおける事例について

フィリピン政府観光省・国内観光促進局局長

シンシア・C・ラゾ

 

本日は、フィリピンを世界に向けてマーケティングするために、フィリピンの国内観光をできる限り最適な形で開発し促進していくことを中心に話をします。手つかずのままの豊富な資源、そのなかでも人々やその生活様式は、国際的なプロモーションを行うための切り札となります。

本日の私の話の核心に触れる前に、フィリピンという国、その国民、観光の有望性とこの5年間の観光事業の伸びについて簡単に述べたいと思います。

フィリピンは、豊富な天然資源、歴史とユニークな文化に恵まれた群島の国です。7,107のそこなわれていない、きらめく島々が、フィリピンの自慢です。島の数だけ、魅力があり、それぞれの島が、非常に目の肥えた観光客でさえ満足させる独自のものを持っています。

多種多様な海洋生物が豊富に生息しているビーチや海も人気が高く、フィリピン中央部の島の1つであるボラカイ島は最近、ロンドンで発行されている雑誌が行ったアンケート調査で、世界で一番素敵なビーチの1つに選ばれました。フィリピンの海に魅力を感じてダイビングにやって来る人の数は増えてきております。フィリピンは、ゴルファーにも人気があります。プレイ意欲をかき立てる自慢のゴルフコースがあり、そのうちのいくつかのコースは、ロバート・トレント・ジョーンズやゲーリー・プレイヤーといった世界的に有名なコース設計者の手によるものです。

フィリピン人は地理的ならびに文化的にいくつかの地域に分かれており、地域ごとに、例えば、北部の質実剛健なイロカノ族、中央平原の勤勉なタガログ族、中央群島のおおらかなビサヤ族、ミンダナオ島の多彩な部族や敬虔イスラム教徒というふうに、それぞれに独特の性質と言語を有しており、はっきりと識別できます。

フィリピン人は、マレー人、中国人、アメリカ人、スペイン人、アラブ人の混血です。フィリピン人の気性や精神は、近隣諸国とは違っています。長年にわたって、フィリピン人は、交易、征服、植民地化が招いた変化の風に適応してきました。非常に異質なものであってもそのうちに慣れ親しむようになるといった具合に、島の文化は何世紀もの間、変化を受容してきたです。

観光振興の点では、フィリピンには、誇りにできる様々な例が揃っています。我が国は、観光省大臣であるミナ・T・ガボールという、観光事業に顕著な成果を挙げてきた人物を生み出してきました。彼女はついこの間も、「Travel Personality of the Year」を受賞しました。世界観光機関(WT0)は、フィリピンの政治が比較的安定していること、世界がフィリピンに対して抱くイメージが良くなったこと、地元経済が上向きであること、観光事業投資が増えて

 

 

 

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