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センター、大規模な高麗人参・薬草市場等で、多様な製品を様々な価格帯から選ぶことができます。高麗人参製品には、顆粒または粉末状の茶、錠剤、カプセル、ジュース、抽出液、キャンディ、リキュール、石鹸、化粧品、シャンプー、チューインガム、タバコ等があります。また、栽培法や加工の過程を勉強する為に、高麗人参農園や工場を見学することも可能です。

6) 高麗人参コンテスト

錦山地域で栽培された高麗人参を審査員団が評価し、その中で最も品質の優れた高麗人参に対して賞が贈られます。主な審査基準となるのは、高麗人参の形状、大きさ、重さ、色合い等です。

7) 高麗人参展示会

高麗人参が展示され、その特徴の説明書が付けられます。中国産の高麗人参との比較も行なわれます。

8) 野外劇

野外で行われる伝統劇が、錦山高麗人参祭期間中の5日間にわたり毎日2回ずつ上演され、高麗人参の起源が紹介されます。

 

3. 祭の評価

1) 祭の経済効果

1996年には、祭の全参加者はおよそ30万人に達しました。前年と比べて200%増加したことになります。その内、錦山外部からの参加者は、72%です。海外からの観光客の総数は1,540人、祭の予算は60万米国ドルでした。しかし、この祭では1,200万米国ドル以上の収益が上がり、これも対前年比200%の上昇であります。

2) 来訪者の満足度

来訪者への調査が実施され、405名から回答を得ましたが、この調査から、この祭が1994年に開催されたものと比べて格段に改善されていることが判明しました。主な評価項目の1996年の平均値は、全て1944年の値より高く、統計的分析によるとその差はかなり大きいものです(以下)

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観光客の評価が上がったのは、専門のイベント会社の採用にも起因している可能性があります。パレードや野外劇といった主要なイベントについては、組織委員会が専門のイベント会社と契約したのです。

3) 主要イベント会場

主要イベントの会場は錦山高麗人参市場の周囲の大きな通りに移されました。前回までは錦山の広大なグラウンドで開催されており、多数のイベントを行なうのに便利でした。しかし、これは錦山の外から来る人々にとっては不便な場所だったのです。祭の新しい会場がオフィス街中心部の街路となった為、来訪者にとっては非常に便利が良くその上、来訪者が錦山に対して抱く印象も良くなり、高麗人参関連製品への購買意欲も増す結果となったのです。来訪者への調査によると、回答者の44%が製品を衝動買いしたといいます。

4) 宣伝活動

パンフレットの配布等、従来の宣伝方法に加えて、様々な宣伝手段が利用されました。数台のコンピュータを大都市の鉄道駅に設置し、情報を提供しました。錦山郡のウェブ・ぺージにもこの催しの情報が載せられ、インターネットを通じて宣伝活動が行なわれました。更に、KNT0(韓国観光公社)も宣伝パンフレットにこの祭の情報を載せ、既成のネットワークを利用して、宣伝活動に大きく貢献しました。

祭のテーマを広める為に祭のロゴマークが作られ、PR用品に付けられました。Tシャツや包装紙にもこのマークが使われています。祭の期間中、商店主や主催者は祭を盛り上げる為にこのロゴ入りTシャツを着用しました。

 

?. 留意点

地域社会における文化観光業の催し(イベント)の振興策として韓国政府が採った基本政策や、錦山高麗人参祭の事例を検討した上で学んだことをここに何点か要約してみます。

まず、企画の質の高さが大変重要であるという点に留意して欲しいのです。催しの計画に地域住民の意向を総合的に反映させ、フィードバックする時間が取れるように、計画立案はできるだけ早期に開始する必要があります。計画は長期的展望に立って作成すべきです。催しの構成要素は多様で、相互に関連しています。催しを成功させるには、忍耐と長期間にわたる取り組みが必要不可欠です。計画の中には、対象とするマーケットや宿泊設備増設の政策、催しを通じて作り上げたいイメージ、宣伝戦略等を詳細に組み入れる必要があります。また、催しの基本計画は地域社会の観光の基本計画と結びついたものにすべきです。地域社会の観光業全般が成長しなければ、催しへの投資の効果は上がりません。催しそのものが魅力的で上手く構成されたものであっても、ホテルや案内所等、適当な観光施設がなければ成功はおぼつきません。

二番目に、地域住民のボランティアの参加も不可欠です。地域社会の人々こそが、催しの主要な構成要素です。彼らが催しに参加しなければ、成功は望めません。きれいな街路や清潔な公共施設、親切なもてなし、高い公共心等が人々

 

 

 

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