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コーディネーター: 

価値あるものは足の下にある。しかしこう言うと「自分たちの地域には何も魅力のあるものがない」の声がでる。

広 野: ルピデュフも何もない村で、ただナポレオンが通っただけだが、それをもとに劇にした。

コーディネーター: 

高知県大方町のゴミ集めで出た100円ライターで作った巨大な絵の美術展や愛媛県内子町では古い建物を芝居小屋にして、活躍している歌舞伎役者を連れてきて芝居をするなどで成功。何もなくても成功の例はある。

ここで事例発表の2人に意見を頂きたい。

崔: 観光開発には長期的な観点、10年以上の期間が必要。

観光の一般的なマスタープランと地域社会の人々の間に強いリンケージ(関係)が必要。

ラ ゾ: 国内観光が重要。観光とは学際的、いろいろな社会分野がかかわったもの。持続可能な開発に視点をおいて、子孫にどういうインパクトを及ぼすのかを考える。

コーディネーター: 

最後のコメントを。

神 崎: マレーシアのサラワク・カルチャービレッジ、海南島の民俗村、台湾の九族文化村では野外展示、動態展示という形の博物館相当施設で文化保存している。

文化を生き生きと伝えるということでは、日本よりアジアの近隣諸国の方がはるかに先進地である。

井野瀬: 欧米を中心とした発展・進歩の概念が崩れてきている。そうでないものを発見しないと日本の未来は描けない。人をどう集めるかではなく、これからどういう時代になっていくのかという時代像を描く。

広 野: 我々の二ーズは変わっていっている。今の社会の中にないものを求めている。意外とその地域の人も気づかない大変すばらしいものが残されているところに着目していろんな二ーズに対応した旅行プランを開発していく方向性がある。

コーディネーター: 

魅力ある地域をつくる資産はタンスの中に眠っている。このタンス預金の資本化を提言したい。価値あるものは足の下にあるが、毎日見ていたらなかなか見つからない。改めて身の回りを見てみると、それが他の地域の人々にとっては心打つ、価値ある文化資産である、ということになるのではないか。

 

3. 参加者のアンケートから

 

当日のシンポジウム参加者(198名)全員にアンケート調査用紙を配付し、シンポジウム終了後回収した。また、聞き取りによる調査も実施した。回答は総計79名であり、注目すべき点については以下のとおりである。

a) 全体として、約9割の回答者は満足。中でもパネルディスカッションは、大変高い評価を頂いた。難しいテーマだが、分かり易く、簡潔に議論が展開され興味深く、面白く聴いたとのコメントが寄せられた。

b) 「ウェルカムプラン21」についての認知度は今回初めて知った方は37%であった。

c) WTO(世界観光機関)のアジア太平洋事務所の存在について今回初めて知った方は12%であり、同事務所が大阪府にあることを今回初めて知った方は23%

 

 

 

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